2025.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】Beyond EXPO ヘルスケア iPS心臓、培養肉など未来の医療や健康をテーマ
大阪ヘルスケアパビリオンに展示されている心筋シート
大阪・関西万博では、各所で未来の医療や健康をテーマにした展示が行われている。
今年は団塊の世代が75歳以上を迎え、今後は超高齢化社会の到来を見据えた対応が必要となる。会場で披露したQOL(生活の質)向上や医療の発展につながる技術の活用が期待されそうだ。
ヘルスケア関連の目玉となる展示が、大阪ヘルスケアパビリオン内のiPS細胞から育てた心臓の細胞をシート状にした「心筋シート」とパソナグループパビリオン「PASONA NATUREVERSE」の「iPS心臓」だ。
iPS心臓は、心筋シートの技術を活用しており、実際に拍動する様子が見られる。心筋シートを患者に移植する手術は既に成功事例があるなど、実用化に向けた取り組みが進む。
大阪大学や島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングスなど6者が参画する「培養肉未来創造コンソーシアム」は、大阪ヘルスケアパビリオンで培養肉を作る機器「ミートメーカー」のコンセプトモデルと本物の培養肉を展示している。
培養肉は、栄養素や脂肪の量などを好みに調整できる。人口増加に伴うたんぱく質の供給不足や家畜を飼うことで発生する温室効果ガスの低減が期待されている。2026年度中に阪大に培養肉を成形するパイロット施設を計画している。31年には商用化を目指す。初めはスーパーなどでの販売を予定しており、最終的には家庭で作れるようにする計画だ。
大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジブースに出店した桃谷順天館(大阪市中央区)は、未来のドレッサーを展示している。
未来型のスキンケアシステムでは、ウエアラブルデバイスを使い、肌年齢や水分量などを診断し、一人一人に合った化粧水を噴霧する。同社が蓄積した肌データを基にAI(人工知能)が診断を行うもので、システムはエステサロンなどでの導入を見込む。