2025.10.21 中国奇瑞汽車、高エネルギー密度の全固体電池を27年量産 競合より先行へ
安徽省で開催された今年のイベント
中国自動車メーカーの奇瑞汽車(チェリー)は18日、安徽省蕪湖市で開いた自社のイベントで、通常のリチウムイオン電池の約2倍に相当するエネルギー密度600ワット時/キログラム(Wh/kg)の全固体電池モジュールを開発したと発表した。2026年に同電池搭載車の試験運用を始め、27年の量産化を目指す。量産化が実現すれば、同年に少量生産開始をめどにしているCATL(寧徳時代新能源科技)やBYD(比亜迪)といった大手より先行することになる。
この全固体電池は、同社の電池研究所が開発した。リチウムが豊富なマンガン系正極材を多く使った新しい固体電解質技術を採用している。奇瑞汽車は24年に400Wh/kgの全固体電池を開発、今年エネルギー密度600Wh/kgに引き上げ、26年に搭載車による走行試験を実施する。
同社は、今回の全固体電池を搭載すれば理論値で1回の充電で1500㎞超走行、実走行で約1300㎞を実現できると説明。安全性の試験では、くぎによる貫通やドリル損傷テストでも発火や発煙はなかったという。
ユン・トンユエ会長も出席したイベント「2025グローバルイノベーション会議」は、奇瑞汽車グループの最新技術を披露する場でもあり、スマートデジタルやシャシー、インテリジェント運転技術、飛行物体プラットフォームなど、各種開発中の製品や技術も披露された。ユン会長はあいさつで「グローバリゼーションとはスケールとスピードを追うだけでなく、サステナビリティー(持続可能性)を維持することこそ肝要だ」と述べた。同社の今年上半期の売上高は前年同期比26.3%増の1416億元(約3兆1152億円)と好調。9月の輸出台数13万7624台は前年同月比26.2%増、5か月連続して輸出10万台を超えている。