2025.11.14 英航空機メーカー2社 水素航空機を共同開発へ 脱炭素化を後押し

「Airlander 10」のイメージ図

ゼロアビアのパワートレイン「ZA600」ゼロアビアのパワートレイン「ZA600」

 英航空機メーカーのHybrid Air Vehicles(ハイブリッド・エア・ビークルズ、HAV)とZeroAvia(ゼロアビア)は、二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの水素航空機「Airlander 10(エアランダー・テン)の共同開発で合意した。                                 

 完成時期は公表していない。同機はゼロアビア開発の水素電気推進システム「ZA600」4基を搭載、余裕ある機内は、100人以上の乗客を収容できる計画という。さらに両社は今後、HAVが計画する将来の大型機にもゼロアビアの水素電気推進システムが適用できるかどうか、可能性を探ることでも合意した。

 計画機は、動力源となる4つの推進システムにより、比較し得る同じ容量の航空機と比べて約90%の排出ガス削減を実現、機体が飛行すると動力は水素電気システムが引き継ぎ、100人以上の乗客にほとんど排ガスなしの飛行を提供する。

 Airlander 10は浮力で持ち上げる静揚力、空気の流れにより発生する揚力、推進力の方向を変えて機能を制御するベクトル推力といった3つの力を組み合わせた新しいタイプのハイブリッド型航空機。ペイロード(荷重)は10トン、最大航続距離4000 海里(約7500キロメートル)。船体に十分なスペースがあるため、水素貯蔵、低温PEM(プロトン交換膜)燃料電池による発電装置、電気推進システムなどの設置が可能という。

 出力600kWのZA600は、すでに規制当局によるいくつかの課題を通過、ゼロアビアは従来の固定翼機を使う航空会社から数100件の予約注文を確保しているという。