2025.12.01 三菱マテリアル、高強度・高耐熱無酸素銅を新開発 放熱部と接点部を同一素材で製造可能に
MOFCーHRと他銅材料との特性比較(出所:三菱マテリアル)
三菱マテリアルは、高性能無酸素銅MOFC(Mitsubishi Oxygen Free Copper)シリーズの一つ「MOFC―HR(Heat Resistance)」の製品ラインアップ拡充の一環として、新たに異形条を開発した。
優れた導電率と熱伝導率を有する無酸素銅は用途が広がっているが、大電流通電により材料温度の上昇を伴うケースや製造時に熱処理を必要とする場合には、無酸素銅では強度や耐熱性が不足する課題があった。
MOFC―HRは、高品質な無酸素銅製造技術と材料設計技術により、高い導電率と熱伝導率を維持しつつ、強度と耐熱性を飛躍的に高めた無酸素銅。米国の銅開発協会(CDA)から、導電率が100%IACS以上の無酸素銅として認定されており、これまで車載パワーモジュール用リードフレームやEVリレー部材、車載端子などで高い評価を得てきた。
今回開発した「MOFC―HR異形条」は、同シリーズの異形条タイプ。リードフレームや端子・コネクターの放熱部と接点部とを同一素材で製作、同時成型が可能となる。
特長は、異形条には厚板部と薄板部があり、リードフレーム用途では放熱部(厚板部)とリード部(薄板部)を、端子・コネクター用途では放熱部(厚部)と接点部(薄部)をそれぞれ同一素材で製作・同時成型可能で、厚さや幅は顧客の要望に応じて製造できる。
MOFC―HRは、無酸素銅(OFC)と同等の高い導電率(100%IACS)と熱伝導率(391W/mK)を維持しつつ、無酸素銅と比べて大幅に優れた強度(400MPa、無酸素銅比約25%向上)と耐熱性(半軟化温度350℃以上、同約150℃向上)を兼ね備えている。
電気特性と機械特性の両立により無酸素銅や高導電性銅合金の高性能化が可能。また、優れた特性により銅材料の使用量を削減でき、コスト低減や部品の小型・軽量化に貢献する。










