2025.12.04 NTTソノリティ、シニア層向け新ブランド設立 オープンイヤー型集音器で難聴者支援
オープンイヤー型集音器「cocoe Ear(ココエイヤー)」
NTTソノリティは、シニア層向けの新製品として、耳をふさがないオープンイヤー型集音器「cocoe Ear(ココエイヤー)」を発売する。新ブランドを立ち上げ、高齢者の聞こえづらさを支援する。本体一つでイヤホンと集音器の役割を補う製品で、ワンモア(東京都渋谷区)が運営するクラウドファンディング「GREEN FUNDING」で23日からプロジェクトを開始。来春に一般販売し、価格は税込み3万9600円を予定する。
同社は、通話や通信の課題解決のために培ってきた、音を閉じ込めて音漏れを最小限にする「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」技術を集音器に活用。聞こえやすい低音はそのまま外から直接届け、聞こえにくい高音を増幅してハイブリッドで自然な聞こえを実現した。
自然な聞こえを実現するため、音などの転送や処理にかかる遅延時間「レイテンシー」を高性能チップの採用で大幅に低減。約0.0025秒の低遅延音声処理で、ハウリングや音漏れも抑えた。
本体は耳につけると装着センサーが反応して自動的に起動し、耳から外すと電源は消える。また、本体のボタンから電源のオン・オフ、集音モードやイヤホンモードの切り替えも可能だ。
重さは片耳約10g。眼鏡よりも軽い設計で、使用時の負担を軽減した。落下防止に配慮した着脱式ネックストラップも同梱し、「落としそうで不安」という顧客の声に対応。カラーはホワイト、ベージュ、ブラックの3色を展開する。
テレビ用ワイヤレストランスミッター「cocoe Link(ココエリンク)」も発売。テレビのヘッドホン端子にケーブルを差し込むと接続する仕組みだ。ココエイヤーの充電ケースとココエリンクをケーブルで接続してボタンを押すと初期設定が完了して使用できる。ココエリンクにもマイクを搭載しているため、ヘッドホン端子に接続しなくても、テレビの近くに置いておくだけでも利用できる。
オーラキャストにも対応しており、テレビの音声を複数のココエイヤーに同時に配信することなどが可能。価格は税込み1万500円の予定。
専用アプリ「cocoe Connect」も開発。アプリは集音モードやテレビモードの切り替えのほか、音量や電源などを操作できる。cocoeプロダクトマネージャーの中野達也氏は「機能は使用しやすいように最低限にした」と話す。
現在日本の65歳以上は3619万人で、人口の29.4%を占めている。2040年には310万人増加し、人口の34.8%を占めると予想されている。難聴患者は約1430万人で、55~64歳でも約10人に1人が難聴を自覚しているという。
相手の言葉が聞き取りづらくなると、人と話すことが嫌に感じてしまい、会話が徐々に少なくなる。人との会話が減ると認知症のリスクが上がると言われ、難聴対策は求められるところだ。
一方で、難聴者に占める補聴器の普及率は、欧米の約50%に対し、日本では15%と低い。NTTの大西佐和子常務取締役は「補聴器でもイヤホンでもない立ち位置で『聞こえる』と『暮らし』をアップデートし、人生を豊かにする」と力を込めた。
NTTドコモと連携し、ココエイヤーを使用した店頭トライアルも31日まで実地。実施店舗はドコモショップ丸の内店(東京都千代田区)、札幌店(北海道札幌市)、六本松店(福岡市中央区)の3店舗。












