2025.12.07 経産省、製品安全の「PSアワード」受賞企業決定、大臣賞は福祉機器開発と家電販売の2社

25年度「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」の経産大臣賞を受賞したいうらの渡部洋子社長(右)

PSアワードの経産大臣賞を受賞したカイノ電器の海野晋社長(右)PSアワードの経産大臣賞を受賞したカイノ電器の海野晋社長(右)

PSアワードの表彰式に出席した受賞者らPSアワードの表彰式に出席した受賞者ら

 経済産業省は、企業や団体の製品安全に関する優れた取り組みを表彰する2025年度「第19回製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」の受賞7社を決定した。経済産業大臣賞の受賞企業としては、福祉・介護機器の開発や製造・販売を手がけるいうら(愛媛県東温市)と、家電販売のカイノ電器(山形県寒河江市)が選ばれた。

 いうらは、経産大臣賞を中小企業の製造事業者・輸入事業者部門で受賞した。同社は、事故事例などを再発防止に生かす取り組みに注力。新商品の開発では、法令・規制や安全上の注意事項への考慮にとどまらず、過去のクレームや不具合情報をリスト化した「インプットリスト」をまとめた上で開発に着手する仕組みを導入。製品安全に関する教育制度や積極的な社外活動なども評価され、選出された。

 東京都千代田区のKKRホテル東京で1日に開かれた表彰式で、同社の渡部洋子社長は、企業理念の1番目に「安心して使ってもらえる商品作りをする」を掲げて製品安全を追求してきた実績について説明。「この受賞におごることなく、またこの賞に恥じないよう、より安全なものづくりに取り組み続け、より良い少子高齢化社会に少しでも貢献できるよう励んでいきたい」と力を込めた。 

 カイノ電器は経産大臣賞を中小企業の小売販売事業者部門で受賞した。同賞の受賞は第15回(21年度)に続く2回目。同社は「まちのでんきやさん」としてフルサービス型の小売店を展開。顧客が製品を安全に使用できているかを常に気にかけた営業姿勢で地域に貢献してきた実績などが評価された。

 登壇した海野晋社長は「日々のお客さまの安全を第一に考えて誠実に業務に取り組んだ社員一人一人の努力の結晶と考えている。地域の皆さまが私たちを信頼して支えてくれたことが(受賞の)実現につながった」と強調。「これからも安全・安心・信頼を柱に社員教育や地域への情報発信をさらに充実させて、次の世代にも誇れる企業であり続けたい」と決意を述べた。

 大企業の製造事業者・輸入事業者部門ではそのほか、技術総括・保安審議官賞を富士フイルムビジネスイノベーションが受賞。優良賞(審査委員会賞)を、象印マホービンとノーリツが獲得した。大企業の小売販売事業者部門では、大創産業が優良賞(審査委員会賞)を受賞。特別賞の企業総合部門には、ヤマト運輸が選ばれた。

 PSアワードは、社会全体に製品安全の価値を定着させることを目的に2007年度から実施している。経産省技術総括・保安審議官の湯本啓市氏は「安全性の高い製造と販売に加えて、製品安全の取り組みを企業価値の向上や企業競争力の維持・強化につなげてほしい」とした上で、製品安全の取り組みの輪がさらに広がることに期待感を示した。

事故リスク低減製品の表彰制度新設

 また経産省は、今年度からPSアワードに「製品部門」(略称「+あんしん」)を設け、受賞製品6製品を決定した。誤使用・不注意による事故リスクを低減した製品を表彰する制度で、事故の未然防止に役立つ機能を持つ製品にはマークを表示する。近年、死亡・重傷、一酸化炭素中毒、火災などの重大製品事故が毎年1000件以上発生している。原因の約3割は消費者の誤使用や不注意で、若年層や高齢者層では6割超に達する。こうした事故を減らすことが狙いだ。