2025.12.08 Netflix、ワーナー買収で合意 歴史的な事業転換に
就任後5年が経過し、事業転換を始めたテッド・サランドス共同CEO
世界で約3億人の加入者数の映像配信最大手、米Netflix(ネットフリックス)がワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)を買収することで合意した。買収額は720億ドル、買収が完了すると、動画配信業界では最大のM&A(合併・買収)となる。
1997年、DVDの郵送サービスから事業を始めたネトフリにとっても、創業以来最大の買収劇だ。また、2020年7月に共同CEOに就任したテッド・サランドス氏にとっては、念願の「サブスクモデル」から「IP(知的財産)所有モデル」への歴史的な事業転換ともいえる。加入料ビジネス以外に多くのIP資産やコンテンツ資産を保有する一大インターテインメント企業になる。
5日の発表によると、ネトフリはWBDの映画、テレビスタジオ、動画配信サービス「MBO Max」とケーブルテレビ「HBO」を取得する。WBDの株主は、1株当たり27.75ドル(現金23.25ドルにネトフリの株式4.50ドル)を受け取る。買収完了は26年第3四半期の予定。「CNN」や「TNTスポーツ」、欧州向けの無料チャンネル「Discovery」などは、WBDから分離された「グローバル・ネットワーク」に含まれ、今回の買収対象には含まれない。
WBD買収後のネトフリは、「Harry Potter(ハリー・ポッター)」「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」など、多くのWBDの人気コンテンツを独占的に配信でき、加入者増に寄与しそうだ。
コスト削減効果では、マーケティングや技術、管理部門などの重複部門を統合することで、年間20億~30億ドルが見込めるとしている。さらに、ネトフリの制作力とWBDのスタジオ機能を融合することでグローバル市場を意識した大型作品が強化できるというのが、サランドス共同CEOの思惑だ。ネトフリの国際顧客網とWBDの映画配給力で、劇場公開と動画配信のハイブリッド戦略の展開も期待できそうだ。
WBDは22年、ワーナーメディアとディスカバリーが合併して誕生したが、今年になって身売りを検討、ネトフリ以外にパラマウント・スカイダンスやケーブルテレビの国内最大手コムキャストも買収に名乗りを上げていた。
ネトフリの買収発表を受けて米国脚本家組合(WGA))、さっそく買収反対の声明を発表した。関連労働者や消費者への影響があるためとしている。







