2025.12.10 外形3.5mmサイズで業界最高水準の電気特性実現 TDK、車載電源回路用パワーインダクターを量産開始

BCL3520FTシリーズ

 TDKは9日、業界最高水準の直流抵抗(5mΩ)と定格電流(10A)を実現した車載電源回路用小型パワーインダクター「BCL3520FTシリーズ」(L3.3×W3.5×H2.0mm)を開発し、今月から量産を開始したと発表した。温度保証上限155℃の高温環境に対応する。

 ADAS(先進運転支援システム)の普及に伴い、その機能を担うECU(電子制御ユニット)の搭載台数が年々増加している。ECUの電源回路には各ICの駆動電圧を得るためにパワーインダクターが使用される。消費電力の低減を目的に高効率な電源回路が必要とされ、低損失で高機能なパワーインダクターの開発が進んでいる。パワーインダクターは、ECUの限られたスペースに実装されるため小型化が求められている。また、過酷な高温環境下での使用に耐える高信頼性も重要視される。

 BCL3520FTシリーズは、外形サイズL3.3×W3.5×H2.0mm(333520サイズ)、インダクタンス0.47μHで、独自の金属磁性材料と構造設計により業界最高水準の電気特性を実現した。直流抵抗は一般的な丸ワイヤ線から平角線を用いることにより、市場の同等品と比較して約15%低減した5mΩ(Typ)の低抵抗を実現し、発熱や電力損失を抑制する。定格電流(Isat)は約28%高い10Aを実現し、各種アプリケーションに対応する。

 温度保証の上限は155℃の高温環境に対応する高信頼性インダクター。AEC-Q200準拠(車載グレード品)。

 用途は、ADAX、xEV(電動車)、車載カメラモジュールなどの各種車載用電源回路向け。

 サンプル価格は100円(税別)。生産は鶴岡東工場(山形県鶴岡市)で行い、12月から当初月産10万個の生産を開始した。

 今回量産を開始した「BCL3520FTーR47MーD」の主な仕様は、インダクタンス0.47μH±20%(1MHz)。耐電圧40V。直流抵抗5.0mΩ(Typ)。Isat10A(Typ)。Itemp11.6A(Typ)。今後も順次、BCM3520FTーDシリーズの製品ラインアップを拡充していく計画。