2025.12.18 キヤノンMJとサイバートラスト、eシール普及で協業 電子文書の信頼性向上へ

eシール付与機能の概要

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)と、トラストサービスを提供するサイバートラストは、電子文書の真正性や非改ざん性を確保するトラスト分野で協業する。キヤノンMJは、デジタルドキュメントサービス「DigitalWork Accelerator」にサイバートラストのeシール自動付与機能を搭載し、2026年1月下旬から提供を開始する。

 企業同士の帳票や文書のやり取りは、紙からPDFなどの電子形式へと急速に移行している一方、電子文書は複製や改変が容易で、発行元のなりすましや内容改ざんのリスクが高まり、社会的な課題となっている。こうした背景から、改ざんリスクを防ぎ、真正性を客観的に担保する仕組みの重要性が高まっている。

 政府主導で「eシール認定制度」の整備が進められており、25年3月には総務大臣による「eシールに関する認証業務の認定に関する規定」が告示された。eシールは、電子文書の発行元と内容に改ざんがないことを証明するデジタル署名技術である。欧州ではEUが16年から「eIDAS規則」を施行するなど先行しており、国内でも23年に検討会が発足し、有識者会議を通じて制度整備が進められてきた。

 今回の協業では、キヤノンMJのDigitalWork Acceleratorとサイバートラストの「iTrustリモート署名サービス」と「iTrust eシール用証明書」を連携させ、DigitalWork Acceleratorで管理するPDF形式の電子文書にeシールを自動付与する機能を提供する。企業間でやり取りされる電子文書の安全性と信頼性を高め、製造、教育、金融、保険医療、食品、流通、行政機関など幅広い分野での普及を目指す。

 請求書や見積書などの取引関係書類をはじめ、各業種・業務で発生する文書の発行において、発行元の証明が担保され、なりすましや改ざんのリスクを軽減できる。企業間取引の透明性向上や業務効率化への効果も期待される。

 三菱総合研究所の予測によると、日本国内の電子署名、タイムスタンプ、eシールなどを含むトラストサービス市場について、30年には18年比で約10倍の1035億円規模に拡大すると見込まれている。