2026.01.27 富士通、専有環境型生成AI基盤を提供開始 機密データ活用と自律運用を両立
Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factoryの概観図
富士通は、専有環境で自社業務に最適化した生成AI(人工知能)の自律運用を可能にするAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」の提供を開始すると発表した。オンプレミス(社内運用)環境にも対応し、機密性の高いデータを外部に出さずに生成AIを活用できるのが特徴。2月から一部機能の先行トライアルを開始し、7月から正式に提供する予定。
記者発表した同社ニューオンプレミス事業部の谷内康隆事業部長は、開発の背景について「企業内で生成AI活用は急速に広がっているが、個人業務の支援を超えて中核業務プロセスに組み込もうとすると停滞するケースも多い」と指摘する。その要因として「どこにデータやAIを配置し、誰がどのようにコントロールするのかという“生成AIの主権性”への懸念が大きい」と説明した 。
企業のAI活用を巡っては、社外秘や高度な機密データの外部流出リスクへの不安に加え、AIモデルやAIエージェントを自社業務に最適化し、進化を主体的に管理したいというニーズが高まっている。谷内部長は「共通的に提供されるクラウド型生成AIは手軽である一方、制約も多い。自社責任のもとで最適化し運用管理できるプライベートな生成AI基盤が求められている」と語る 。
こうした課題に対応するのが、Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factoryだ。専有環境を実現するインフラ基盤、生成AIの信頼性を支えるトラスト技術、高精度生成AIモデルとそのカスタマイズ・軽量化技術、AIエージェント開発の効率化技術ー四つの要素によって構成される。
インフラ基盤は、Private AI Platform on PRIMERGYや欧州向けPrivate GPTを活用し、オンプレミスでのAIを運用できるようにした。機密性や性能要件に対応しつつ、業務システムへの安全な組み込みを実現する。谷内部長は「データやAIモデルを外部に出さずに運用できることが、企業の中核業務でAIを使う前提条件になる」とする 。
生成AIトラスト技術では、7700種超の脆ぜい弱じゃく性に対応するスキャナーとガードレール技術を組み合わせ、意図しない出力や不正入力を検知・抑止する。抑止ルールの自動化により、専門人材に依存しない安定運用を可能とした。「AIが正しく想定通りに動いているかを継続的に監視・制御できることが、業務利用には不可欠」(谷内部長)で、こうした課題を抱える企業のニーズに対応する。
生成AIモデルには、日本語性能と画像解析能力を両立した大規模言語モデル(LLM)「Takane」を中核に採用する。内製型ファインチューニングにより業務特化型モデルの継続的な改善が可能で、さらにモデル量子化技術によって計算量とメモリー消費を削減し、低コストで効率的な運用を実現する。
プログラムの必要がないローコード・ノーコードでAIエージェントを構築できる開発フレームワークも提供し、既存システムと連携した複数エージェントの協調動作を可能にすることで、業務プロセス全体を支える高度なAI活用を支援する。
谷内部長は「四つの要素をパッケージとして提供することで、生成AIを単なる実験的導入から、業務に組み込み改善し続ける“生産設備”へと進化させたい」と強調した 。
今後、先行トライアルで得られる利用者のフィードバックを反映しながら機能を拡充し、企業の生成AI活用の本格展開を後押しする方針である。専有環境による安全性と自律運用を両立した生成AI基盤として、国内外での普及を目指す。







