2026.03.04 シーメンス、カナダの鉱山開発企業と提携 デジタルツインでリチウム精製を支援

調印後に握手するロックテックのヴィナロヴィッチCEO(左)とカジCEO

 カナダの鉱山開発企業ロックテック・リチウムとドイツのシーメンスは、リチウム材料の精製で提携した。1日から4日までトロントで開催された鉱業関係のイベント「PDAC」の会期中に、ロックテックのミルコ・ヴィナロヴィッチCEOとシーメンスのカナダ法人ファイサル・カジCEOが調印した。両社とも、G7(主要7カ国)の重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化の一環と位置付けている。

 今回の提携は、「デジタルツイン」の製造面での普及を推進しているシーメンスにとって、「グーベンからレッドロックへ」という点で意義がある。デジタルツインは、現実世界のツイン(複製)をデジタル空間に再現し、実物と同じように動かしながら最適化する技術。

 ロックテックは、ドイツ東部のブランデンブルク州グーベンで建設許可を得たリチウム精製施設を、2027年の稼働開始に向けて建設する予定だ。同施設は、年間2万4000tのバッテリー向け水酸化リチウム(LiOH)を製造するために設計されている。年間50万台の電気自動車(EV)の電力量に相当する。

 今回の合意では、オンタリオ州レッドロックに建設予定のロックテックの精製工場に、グーベン工場で導入予定のシーメンスのデジタルツインを全面導入。設計から建設・運用までの工程をデジタル上で事前に検証し、効率とエネルギー、安全性、排出量などを最適化する。レッドロックの新工場の生産能力は、炭酸リチウム換算で年間3万2000tで、約90万台のEV向けバッテリー材料に相当するという。工場の完成時期は明らかにされていない。

 ロックテックのヴィナロヴィッチCEOは新工場について、「オンタリオ州で最初のリチウム精製工場になる。これでカナダの重要鉱物処理能力を高めることができる」とコメントしている。

 シーメンスは近年、産業オートメーションや工場のデジタル化事業に注力しており、「当社のデジタル・ツイン技術の知見がカナダにわたり、リチウム精製に貢献できる」(同社カナダ法人カジCEO)としている。