2026.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】東芝 月野浩常務執行役員(ICTソリューション事業部担当)

グループ一体で一段の成長へ、先端技術の実装力を武器に業務変革後押し

 東芝は、2027年3月期を最終年度とする「東芝再興計画」で「One東芝」を掲げ、グループの主要事業を担う子会社4社を統合する方針を打ち出した。この一環で、東芝デジタルソリューションズ(TDSL)が4月に東芝へ統合された。26年3月期はTDSLとして最後の事業年度で、過去最高益を達成し良い形で締めくくれた。

 一方、AI(人工知能)は企業の競争力を左右する前提条件となりつつあり、製品やソリューションへの実装も急速に進んでいる。東芝はこれまで、電力や鉄道、防衛など幅広い分野で事業を展開し、ドメイン(特定領域)知識を蓄積してきた。TDSLの統合を機に、こうした領域へAIや量子技術などの先端技術を実装するチャンスが広がりつつある。

 組織的には「エネルギーソリューション」「デジタルインフラソリューション」「デバイス&テクノロジー」という三つのビジネスセグメントを設置し、事業間の連携を強化している。デジタル技術を通じて他事業を後押ししていきたい。

 製造分野では、東芝グループ自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するとともに、顧客企業のDXも支援している。既に東芝がものづくり企業として培ってきた知見などに先進技術を融合し、製造業向けソリューション「Meister(マイスター)」シリーズを展開。顧客の変革と成長を後押ししている。加えて、設計・計画から調達、製造、保守・サービスまでをカバーする「製造バリューチェーン」の支援体制づくりを進め、AIを取り入れている。

 また、東芝再興計画で注力領域の一つと位置付けた量子技術は、研究開発段階から事業化の段階へと移行しつつある。量子コンピューターの仕組みを疑似的に再現する「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」の実装を進めており、5月には三井住友銀行と共同でSBMを活用した新たな株式指数を開発したと発表した。次世代の暗号技術「量子暗号通信」も、事業化に向けた取り組みを加速している。

 今後のICT市場では、AIの実装力に加えて、サイバーセキュリティー対策の強化が一層重要になる。長年培ってきたエンジニアリング力をさらに磨き、業務や社会の変革を支援していきたい。