2020.09.25 【九州・山口産業特集】九州計測器SPR装置、シンプルでカスタマイズ可

simpleSPR

 九州計測器(福岡市博多区、岩倉弘隆社長)は専門商社としてだけでなく、技術力を強みにオリジル製品の開発をはじめ、研究開発サービスにも力を入れてきた。最近は大学などのシーズを活用し、第三者のニーズに合わせて作るスタイルで成果を上げている。

 オリジナル製品の「SPR(表面プラズモン共鳴)装置」は、九州大学の共同研究から福岡県工業技術センターとも連携して開発した。SPR装置は製薬メーカー向けを中心に大企業でも生産しているが、同社ではSPR自体をテーマとしている大学や民間の研究部門など、研究用に特化している。

 装置はシンプル化しているが、内容がオープンで手軽に扱え、センサーチップと組み合わせることで様々な応用ができる。ほかの製品のようにブラックボックス化されていないため、組み込む際にユーザー側でカスタマイズが可能なのも特徴の一つだ。

 装置には光学的な技術とソフトに加え、化学、バイオなどの知識も必要で様々な技術の組み合わせからなっている。開発を担当する岩倉宗弘部長は「これまで培った技術の中からニーズをつかんできた。商品を売るだけでなく、分野を絞って技術力を高め、得意分野をつくっていく」と、同社ならではの強みを語る。

 商社として幅広い需要に対応する中、メーカー、大学などの技術とその応用やニーズを、同社の蓄積した技術力で組み合わせ、ほかにはないオリジナルな製品を作り上げている。

 中部電力と共同開発した「空間環境の可視化システム」、森林総合研究所・九州大学と共同開発した「充実種子選別装置」など、これまで実績を上げてきたが、今後はマイクロ波を使った分析など、電磁波を活用する分野に着目している。