2020.10.06 【世界情報社会・電気通信日のつどい特集】ベトナム開催は来年テレコムワールド、オンラインで

19年はブダペストで開催

 国際電気通信連合(ITU)が主催する最大の展示会が「ITUデジタルワールド」(以下、テレコムワールド)。19年までは「ITUテレコムワールド」の名称で毎年開催されていた。

 今年は世界的な新型コロナウイルスの感染症拡大により、ベトナムのハノイで9月に開催される予定だったが中止。代わりに10月20日から3日間オンライン開催になった。

 しかし、ベトナムでの開催は来年に持ち越され、時期も第4四半期が予定されている。

 昨年はハンガリーのブダペストで開催され、260社が参加、来場者も135カ国から約4000人が来場した。

 一方でテレコムワールドは、国連の専門機関ITUの主催だけに政府関係者の来場が多く、各国の通信所管大臣の交流の場的な色彩が濃い。「サロン的」と評される由縁だが、ビジネスに直結しないとして参加を見送った日本企業も多い。

 半面、発展途上国では通信会社は国営という事情もあり、関係閣僚が多く来場するデジタルワールドは絶好の商談の機会との受け止め方も少なくない。そこで大臣への直接の売り込みの場として参加しているアジアの企業もある。

 デジタルワールドに名称変更後、オンラインとはいえ今年が最初の開催だが、過去49回の開催のうち半分以上はグローバル企業主体の展示だった。

 このため、中小企業(SME)やスタートアップ企業は敷居の高さを感じていたことは事実。そこでITUでは近年、SME向けの商談の場やマッチングの機会を設けるなどしてSMEの参加を積極的に呼びかけている。

 1年遅れの開催となった来年のベトナム。近年、世界の生産工場中国への依存を減らそうと、グローバル企業のベトナム進出が増え、脚光を浴びている国のひとつだ。携帯電話メーカーの進出も目立つ。

 質の良い労働力が高く評価され、ベトナム政府も企業誘致に本腰を入れ始めた。

 来年は記念すべき50回目開催の節目。過去5年にはアジアで釜山(韓国)とバンコク(タイ、2回)で3回開催。

 デジタル変革に取り組むベトナムでの開催が、近年大きく変貌しつつあるASEANを象徴している。