2020.10.26 【次世代自動車用部品特集】自動運転化や電動化に照準将来ニーズ見据え先行開発推進
系統連系型V2Hシステム「EVパワー・ステーション」
電子部品メーカー各社は、次世代の自動車開発に照準を合わせたR&Dを活発化させている。現在の自動車市場は、「CASE」「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」などをキーワードとした技術潮流・市場潮流の変化により、「100年に1度の大変革期」とされ、IT・エレクトロニクス技術の重要性が一段と高まっている。電子部品各社は、自動運転化や電動化などの車の技術革新や業界の構造変革をビジネスチャンスと捉え、将来ニーズを見据えた先行開発を進めることで、今後も車載用電子部品ビジネスの安定的な拡大を目指す。(関連特集5-7面)
自動車市場は電子部品産業の中長期の成長をけん引する最重要分野の一つ。車の世界生産台数は乗用車と商用車を合わせ、ここ数年は年間9千万台を超えている。
20年は、新型コロナウイルス感染症拡大が自動車マーケットに大きな影響を与え、世界の自動車販売台数は最大2割程度落ち込むことなども想定されているが、ここにきて、中国や米国での新車販売が当初の予想から上振れ傾向にあることなども指摘されている。
世界の新車販売台数が18年頃の水準まで完全に戻るには数年かかるとも指摘されているが、コロナ収束後は再び成長軌道に回帰し、中長期的な安定成長を描くことが見込まれている。
CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアード&サービス、エレクトリック)は、今後のモビリティ革命をけん引する四つのメガトレンド。これらにより、カーエレクトロニクス技術は大きく変貌し、中長期で市場を大きく押し上げていくことが予測されている。電子部品各社は、その変化に対応するための技術戦略やマーケティング戦略に努めている。
特に「オートノマス」では、自動運転車/完全自動運転車の実現に向けた技術開発が国内外で活発化している。海外では自動運転レベル3に対応した市販車の発表が一部で始まり、20年以降のレベル3実用化が志向されている日本でも自動運転関連の実証実験の動きが活発化している。
自動車産業の技術革新に合わせ、本格的な自動運転の実現に向けた各国での法整備も徐々に進みつつある。電子部品各社は、これらに対応するため、高性能な車載用センサーや通信デバイス、車載高速伝送用部品などの開発を加速させている。
「コネクテッド」では、高速伝送対応や通信品質の向上に向けた電子部品・モジュール開発が活発。「エレクトリック」では、EVなどの環境対応車向けに、大電流・高耐圧部品の開発や次世代パワー半導体関連部品などの開発が進展。「シェアード&サービス」では、MaaS関連市場に向けた新たなビジネスモデル構築などの動きが見られている。