2020.10.26 【カーナビ特集】大画面化、エンタメ重視 既販車装着も視野に製品開発

車種を問わず大画面ナビが装着できるフローティング構造のナビも増えてきた(写真はパナソニック)

後席モニターでインターネットコンテンツを見るエンターテインメント提案も(写真はパイオニア)後席モニターでインターネットコンテンツを見るエンターテインメント提案も(写真はパイオニア)

ドライブレコーダの製品群も増えてきたドライブレコーダの製品群も増えてきた

ナビ連動のドライブレコーダも充実ナビ連動のドライブレコーダも充実

 市販カーナビゲーションシステムは、大画面化が進むとともに、エンターテインメントを重視する傾向が強くなってきている。新車販売時のナビ装着率が高まる半面、純正ナビの機能に不満を持つ人も多い。ナビメーカー各社は、市販ナビならではの機能やサービス、パッケージングで差別化を図ってきた。最近は自動車の車齢も長くなっていることから、新車だけでなく既販車への装着を視野に入れた製品も増えつつある。

 国内のカーナビゲーションシステムをはじめとしたカーエレクトロニクス市場は、19年の消費税増税に伴う特需の反動減が続くとともに、今年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い苦境に立たされていた。特に緊急事態宣言発令時の外出自粛期間中は自動車の生産自体も停滞したが、夏以降は少しずつ需要も戻りつつある。

 「GoToトラベル」などのキャンペーンのスタート後は外出する人が増加し、中でも感染リスクを減らす目的で公共交通機関を使わずに自家用車で移動をする人も増えている。こうした背景もあり、再び自家用車が注目されるようになり、カーナビに触れる機会も多くなってきている。

 オンラインで新製品発表会

 市場環境が大きく変わる中で、20年はカーナビの展開も変わってきた。例年、メーカー各社は夏のボーナス商戦と年末商戦に合わせた製品発表が多かったが、今年は夏以降の製品発表が目立つ。コロナ禍ということもあり、メーカー各社の新製品発表会はオンラインが中心になった。

 各社の傾向を見ると、これまで以上に市販ナビにしかないパッケージが特徴になり、大画面化とエンターテインメント化、ドライブレコーダ対応がトレンドになっている。

 フローティング構造のディスプレイ採用

 この数年は新型車への装着を想定しながら市販ならではの最新機能を盛り込む傾向が強かったが、今年は新型車に加え、既販車への対応も視野に入れた製品展開も目立ってきている。

 例えば大画面化に関しては、車種を問わず8V型や9V型が装着できるダッシュボードの前に浮き出るフローティング構造のディスプレイを採用したナビが増えてきた。

 パナソニックがいち早く製品化して投入、市場をけん引。今年はJVCケンウッドが「ケンウッド彩速ナビ」で9V型のフローティングディスプレイモデルを発売するなど、フローティング型が一つのジャンルになってきている。先行していたパナソニックも、今年は業界初となる10V型有機ELモデルを発売するなど差別化を図ってきた。

 フローティング構造は、大画面ディスプレイを、車種を問わず付けられるようにしたことで注目された。従来、大画面ディスプレイは車種専用に設計する必要があり、人気車種などしか対応していなかった。

 それがフローティングによって新車だけでなく、既販車にも大画面ナビが装着できる。車種専用の大画面ナビで先頭を走るアルプスアルパインも、一部の車種向けフローティングモデルを用意するほどだ。フローティングナビは今後も一つのカテゴリとして浸透していきそうだ。

 エンターテインメント機能充実

 大画面に加えて、エンターテインメント機能も充実している。各社ともオーディオ機能を強化、高音質化を図るとともに、車室内でのエンターテインメント機能に注力する。アルパインやパイオニアは、リアモニターの製品群を増やし、車内全体をエンターテインメント空間にしていく提案を進めている。中でもパイオニアは昨年からクルマのオンライン化に取り組み始めた。

 Wi-Fi環境を車内に作ることでインターネットの様々な音楽や、動画コンテンツを楽しめるようにした。ナビに通信機能を付ける取り組みは以前から進めていたが、NTTドコモと連携したサービスにより、低価格でインターネットコンテンツが定額で使える。

 今年は、車種を問わずWi-Fi環境を構築できる車載専用のルーターも発表。車内で様々なコンテンツを楽しめるようにする工夫は、今後も各社が取り組むとみられる。

 ドライブレコーダ対応が進む

 安心・安全では、ドライブレコーダ対応が一層進んできている。単体のドライブレコーダに加え、ナビ連動型の製品も増えつつある。最近は、あおり運転の被害も増えていることから、前方だけでなく、後方視界の録画もできる2カメラ搭載のドライブレコーダが人気だ。

 今年は主要各社が、ナビと連動した2カメラドライブレコーダの製品群を増やしている。さらにハイビジョン化なども進めている。また、カメラ映像を使い前方車両の接近や、車線逸脱警報を出す機能や停車時のセキュリティ監視をする機能などを搭載するモデルも出てきている。

 ドライブレコーダの装着は今後、当たり前になってくるとみられており、ナビ連動などもさらに進みそうだ。