2020.11.18 【Inter BEE特集】 オンラインできょう開幕、来年2月26日まで

昨年のInter BEEで池上通信機のIPとロボティクスを融合させた新たなシステムのデモ昨年のInter BEEで池上通信機のIPとロボティクスを融合させた新たなシステムのデモ

 ニューノーマル(新しい日常)社会のメディアとエンターテインメントの再起動を目指した「Inter BEE」がきょう18日開幕する。第56回を迎えた今年は新型コロナウイルスの感染症の拡大防止のために、「Inter BEE 2020 ONLINE」としてオンラインでの開催となる。同展は日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展として、コンテンツビジネスに関わる最新のイノベーションが国内外から一堂に会する国際展示会。主催は一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。開催会期では、ライブイベントは今月20日まで、オープン期間は21年2月26日まで。(関連特集4-5面)

 放送業界では、4K・8K・HDRといった映像の高画質化への取り組みや、IP・クラウド・AIを活用した新たなソリューションにより、映像制作現場の効率化を実現するソリューションが注目されている。

 さらに、5Gによる通信ネットワークの高度化・多様化が進み、様々な産業が連携し、新たな付加価値を提供する放送メディア産業への期待も高い。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、生活習慣とビジネスなどあらゆる分野に急激な変化を与え、ニューノーマル時代の変換期をもたらす。放送業界も大きな影響を受けている。放送と連動したイベントの中止や番組制作においてのロケ地変更や働き方など、様々な対応に追われている。

 世界各地で様々なイベントを中止または延期する動きが世界で広がった。こうした状況下で、国内外において放送関連の展示会やイベントも中止や延期、オンライン開催などの決定が相次ぐ状況になっている。今年のInter BEEもオンライン展示会になり、今後も拡大しそうだ。

 コロナ禍で注目されるリモートプロダクション

 コロナの拡大防止施策の一環として、多くの業界でリモートワークが取り入れられている。以前から注目されているリモートワークフロー関連技術がコロナの影響で一気に普及した。コロナ禍でリモートでの映像制作も注目されている。放送・映像制作を支えるリモートプロダクションなど、パナソニックのIT/IPプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」やリモートカメラなどを組み合わせたシステム、池上通信機のIPとロボティクスを融合させた新たなシステムソリューションなど、各メーカーはリモートで作業できるよう、製品開発に積極的に取り組んでいる。これからのコロナ社会に向けて放送システムと通信ネットワークがどのように応えていくのか、今後の動向に引き続き注目したい。

 新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数が約590万台超す

 今年12月1日で新4K8K衛星放送の開始から2年。放送サービス高度化推進協会(A-PAB)によると、9月末で新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数が約590万台となった。A-PABは新チューナ内蔵テレビが前年同月比約1.5倍と引き続き着実な伸びを続けているとしている。

 新型コロナの影響により、ステイホームの傾向が続き、家族と一緒にテレビを視聴する機会が増え、4K中心の大型テレビに買い替える機運が高まったことが影響しているようだ。また、A-PABの4K・8K放送市場調査によると、画質の良さと番組の魅力などで4K8Kテレビ所有者の8割強が満足。一方、2割弱の不満足を感じる要因はコンテンツ不足が挙げられた。新4K8K衛星放送はNHKや民放BSキー局など、現在19チャンネルで4K8K放送を楽しめる。来年3月からWOWOWが加わる予定で、さらなるコンテンツの充実化が期待されている。

 放送業界でもウィズ/アフターコロナの世界における新しい生活様式に注目してコンテンツの強化を図り、新たな視聴体験を提供するなど、価値・魅力のあるコンテンツを提供し、より多くのユーザーをファンになってもらうことを目指すべきである。

 Inter BEEでは「4K8Kの今後の可能性を共に探る」をテーマに、A-PAB主催のフォーラムが行われ、4K8Kの課題や今後の可能性を探る。

 4K8K放送の視聴を促進するために、NHKとBS民放5社(BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSテレ東、BSフジ)は、12月1日のBSデジタル放送20周年・新4K8K衛星放送2周年を記念して、12月を新4K8K強化月間とし、共同で「新4K8K衛星放送で見ようよ!月間」キャンペーンを実施する。NHKの「BS4K」「BS8K」ではより魅力的な番組を放送、BS民放5局でも普段の月より多くの4K番組を編成し4K普及に力を入れていく。