2020.11.30 木村情報技術と電波新聞社が営業支援事業ICTとAIで中小企業の販路開拓支援

 「独自の技術を生かした製品やサービスを開発して広く展開したい」「ようやく製品化したが、販売してくれるパートナーを見つけられない」。こうした悩みを抱えている中小企業は多いのではないだろうか。

 医療業界向けの講演会ライブ配信サービスで豊富な実績を持つ木村情報技術(佐賀市)と電波新聞社はこのほど、中小企業が抱える課題を解決する営業支援事業を開始した。

 ICT(情報通信技術)とAI(人工知能)を活用して中小企業の販路開拓を支援するプログラムで、オンラインコミュニケーションの仕組みを使い、今までにない全く新しい営業活動を実現していく。創立70年の歴史を持つ電波新聞社のエレクトロニクス業界での基盤と、木村情報技術のICT・AI基盤を組み合わせたものであり、中小企業の営業活動を非対面でも行えるようにする。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、従来の営業活動ができなくなっった企業は非常に多い。特に展示会などで自社の技術や製品を提案していた企業では、展示会自体が中止・延期になって思うような営業活動が行えないとの声も挙がっている。

 この課題を解決しようと動きだしたのが木村情報技術だ。同社は、薬剤師でもある創業者の木村隆夫社長が長年製薬会社に勤務してきた経験を生かして、医薬業界向けのライブ配信サービスを開発・展開し成長してきた。現在は全国9カ所にスタジオを構え、コンテンツの作成支援から配信までワンストップで提供。製薬企業80社による年間2200回のライブ配信が延べ100万人に視聴されるなど、医薬業界ナンバーワンの実績を誇る。

 ライブ配信サービスだけではない。いち早くAIに着目し、16年1月にはIBMのAI「ワトソン」の日本語版に関して日本で初めてのエコシステムパートナーとしてソフトバンクと契約を結んだ。医薬品に関する質問に回答するAIサービスをはじめ、各種問い合わせシステムを商用化。医薬業界以外にも展開を始めており、既に約90社が利用するまでになっている。

 これらの技術を生かして木村情報技術では、ライブ映像配信からAIを使ったチャットボットや検索、遠隔面談、Web展示会の開催まで、コロナ禍でも効果的な営業活動を実現できるICTの基盤を構築した。木村社長は「医薬業界に限らず様々な業界がコロナ禍での営業活動に課題を抱えている。構築した基盤を使って中小企業の支援を本格的に進めたい」と話す。

 新たに構築する協業ポータルサイト「BtoB Bridge」は、優れた技術や製品を持つ中小企業と、販売先や提携先、協業先となる大企業など様々な企業をマッチングさせる場としていく。中小企業の技術・製品などをアピールするコンテンツや資料の作成支援に加え、Web商談会、Web展示会も開く。

 営業支援とマッチング支援を、電波新聞社が長年培ってきた読者基盤などを活用して行う。日刊電波新聞はエレクトロニクス業界の上流から下流までを網羅しており、読者・取材対象が大企業から中小企業まで幅広い。これまで企業の新技術や製品といった新しい動きについて、電波新聞社では紙面を通じて報道してきたが、今回のサービスでは報道とは別の立場で新たな価値を提供する。

 なお、この事業は経済産業省中小企業庁と中小企業基盤整備機構が実施する令和元年度/令和2年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業」として行う。