2020.12.28 I I J、ワイヤレスキャンパス開設千葉県白井市のDC内に

様々な無線関係の実証実験ができる白井ワイヤレスキャンパス

5Gの低遅延が体感できる5Gの低遅延が体感できる

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、千葉県白井市の同社データセンター内に白井ワイヤレスキャンパスをこのほど開設した。同社は、自社のネットワーク、クラウドサービス、セキュリティ技術を生かして、様々なIoTソリューションを提供している。同キャンパスは「多種多様な無線周波数のユースケースを体感」(同社)できるとともに、産官学の共同開発を促進する場と位置付ける。

産官学の共同開発促進

 同社は、これまで産業、農業、ホーム・見守り、エネルギーなどの分野でIoTソリューションを展開してきた。

 農業分野では、農業人口の減少などの課題に対応するため、920メガヘルツ帯の無線通信技術LoRaWANを採用した水田センサーを開発、スマート農業への取り組みを本格化させている。IoTセンサーで水田の水位および水温を測定し、無線基地局を通してクラウドにデータを送信、測定データを遠隔監視し、自動給水弁を遠隔操作することで、水位がコントロールできる。

 過去3年間、静岡県経済産業部と連携し、袋井市の農業経営体とコンソーシアムを結成、同社が研究代表機関となり実証実験を進めてきた。こうした成果を踏まえ、センサー、無線技術を活用することで、事業化の対象領域を広げていく考え。

 現在、北海道、岐阜県、大阪府などのスマート農業実証プロジェクトでも、リモートセンシングや無線通信技術で、地域のニーズに合った技術支援を行ってきている。

 また、今回、LoRaWAN対応の水田用水位センサーを応用することで、ため池や用水路など水利施設の水位遠隔監視・管理するセンサーおよび目視監視用静止画カメラを開発、21年1月5日から提供開始する。

 このほか、食品関連事業者向けに、LoRaWANを活用した冷凍冷蔵庫や倉庫の温度を自動監視・管理するソリューションの提供も開始している。

LoRaWAN活用

 白井ワイヤレスキャンパスは、こうしたLoRaWANを活用したIoT体感コーナー、M2Mを想定した省電力・広帯域通信のLTE-M、ローカル5GのNSA(ノンスタンドアロン)、SA(スタンドアロン)の速度体感、低遅延体感できるコーナー、さらに最新のWi-Fiや東大中尾研究室と共同開発のPLTE(プライベートLTE)、ALSOKと共同開発した閉域ロボット実演などを体感できる。端末・基地局などの新製品検証や相互接続性の確認なども行うことができる。

 同社では「社内R&D、産官学の様々な共同開発の成果の発表の場、また、先進的な無線通信の業務利用を考えているが、具体的な要件が定まっていないお客さまにショールームとして活用してもらう場」と位置付けている。