2021.01.01 【AV総合特集】オーディオ各社の21年事業戦略アキュフェーズ 鈴木雅臣 社長

鈴木 社長

創業50年の節目の年記念モデル第3弾を投入

 21年は1972年の創業から50年目を迎える節目の年になる。19年からはフラグシップモデルを50周年記念モデルとして展開し第1弾はプリメインアンプを、20年に第2弾のプリアンプを発売した。今年も50周年モデルを新たに加える計画だ。

 ハイエンドオーディオの世界はアナログレコード、CD、SACD、ハイレゾリューション、ストリーミングなど音源は多様化している。半面でユーザー側の志向も多様化し、どの音楽ソースにも需要があるため、あらゆる音楽ソースで満足が得られるよう、音質や性能、機能など、全てを深化させた製品開発に注力していく。

 20年は4月のステレオ・フォノ・アンプ「C-47」を皮切りに、6月にデジタル・ヴォイシング・イコライザ「DG-68」を、7月には50周年記念モデル第2弾となるプレシジョン・ステレオ・プリアンプ「C-3900」を発売。10月にはプリメインアンプのエントリモデル「E-280」、11月に一体型SACDプレヤーの最新機「DP-570」を投入するなど、バラエティに富んだ計5機種を展開できた。

 DG-68は他社にない製品で注目されているほか、C-3900は高額モデルにもかかわらず評判が良く、販売も好調で在庫が無い状態だ。3900が初めてのアキュフェーズ製品という方もいるなど、新規ユーザーの獲得にもつながった。

 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、試聴会や展示会といったイベントが中止となるなど厳しい状況が続いたが、海外では欧州やアジアの販売店の熱い協力と支援が得られ、販売を伸ばせた。

 21年は50周年記念モデル第3弾の投入を予定するとともに、着実に新製品を発売していく。

 当社製品は高価な趣味製品になるため、実際に見て、聴いて、触ってみなければ購入に結び付かない。コロナ禍でも安心して製品を体感できるよう、自宅での試聴を積極的に進めていきたい。当社は専門の販売店による対面販売を必須にしているため、自宅試聴も販売店サービスとして展開したいと考えている。試聴用サンプル機を販売店へ貸し出し、販売店から顧客宅へ製品を持ち込み試聴してもらえるようにする。貸し出し用に現行製品を全て用意している。

 より長く製品を使ってもらう取り組みも継続していく。顧客はユーザー登録をしてもらうことで安心して保証が受けられる。さらに中古品を入手したユーザーも同様のサービスが受けられる「セカンドユーザー登録」も進める。創業時の製品から年代にかかわらず修理対応するため、末永く安心して使ってもらいたいと考えている。

 21年の市場環境に不透明感はあるが、より深化した製品の発売を続けて多様化する要望に応えていきたい。