2021.03.18 【九州・山口産業特集】QUEST先端技術教育から裾野を拡大
芦原 理事長
NPO法人のQUEST(福岡市早良区)は、先端技術に向けた人材育成と技術者教育を展開、より裾野を広げるとともに積極的な事業化を図っている。
今年度はコロナ禍で研修などはオンライン中心。組込みに特化していることで、唐津ビジネスカレッジではビギナー向け、長崎県情報産業協会(NISA)ではAI(人工知能)を中心になど、個別の企画にも合わせた対応が可能だ。今年度、4社で延べ100人が参加した新入社員教育は、21年度も同程度の規模で実施を予定している。
運営に携わっている福岡ソフトリサーチパーク(SRP)とは、「ふくおかAI/IoT祭り」などで連携を深めている。2月にSRPIoT講座として開催したAIセミナーは約200人が参加し、好評だった。
昨年12月に協栄エレクトロニクスと連携して有料講座を2回実施。ネットワークとセキュリティ、Raspberry Piを教材にしたAIと故障診断で、21年度は定期的な有料講座の実施を目指している。
昨年度好評だった写真撮影の市民講座や子ども向けといった一般向けは今年度ほぼ開催できなかったものの、この分野も事業化を図りたいと考えている。オンラインで実施したものは、コンテンツとして活用することも検討する。
芦原秀一理事長は、ITなど言葉だけ先走りし、一般には使えない部分があるのを懸念している。QUESTはモノづくりや教育をキーワードとしているが、「AI/IoTというモノのソフト化を一般の人が扱えるように、教育事業を進めていきたい。子どものプログラム教育だけでなく、素人でも理解できる基礎、入門をやるのが役割かと思う。AI/IoTを〝みんなのもの〟にしないと」と語る。
今は誰でも車の構造が分からなくても運転できるように、「ものを動かせる」というベースをつくることでモノづくり、製造業などのAI/IoT化の窓口にもなる。SRPや賛同企業と協力して、より広い裾野の底上げを図る。また、実践としてスマート・エネルギー・システムの事業化・教育にも参加していく。