2021.03.18 【スマートハウス用部品技術特集】エナジーハーベスティングとワイヤレス給電SMKのハイブリッド技術

参考イメージ(SMK)

 SMKは、再生可能エネルギー(室内光、温度、振動など)を電力変換するエナジーハーベスティング技術と、次世代エネルギー源として注目されるSub-GHz帯のマイクロ波を用いた空間伝送型ワイヤレス給電技術の2系統電力を独自方式により組み合わせた、業界初の技術を確立した。

 同社が確立した新技術は、エナジーハーベスティングとワイヤレス給電のハイブリッド技術。同社独自方式のエナジーハーベスティング技術とSub-GHz帯ワイヤレス給電技術の2系統電力を採用した。同技術により、リモコン、センサーなどのIoT機器の電池レス化を実現し、IoT技術の課題である電池交換の手間やランニングコストおよび電池廃棄の問題を解決する。2系統個々の技術は単独で使用することも可能。

 近年、脱炭素化の動きが加速し、CO₂排出量の多寡が市場評価を左右しつつある。同技術による再生可能エネルギーの活用はCO₂の排出量削減につながるとともに、顧客の企業価値向上にも貢献する。

 同技術によるメリットは、電池交換不要によるランニングコストの削減とメンテナンスフリー化の実現。乾電池不要により製品薄型化を実現できる(参考、乾電池厚さは単4で10.5ミリメートル、単3で14.5ミリメートル)。電池レスによる軽量化が図れることで、耐落下衝撃性を向上できる。電池カバー不要により、耐防水性、堅ろう性向上。再生可能エネルギー活用、廃棄電池の排除によりCO₂排出量削減に貢献する。米Atmosic(アトモシック)社の超低消費電力SoC技術を採用し、通信時に同社従来品比で約3分の1の低消費電力を実現した。

 用途は、リモコン、各種コントローラ、センサーデバイスなど。

 空間伝送型ワイヤレス給電技術は、モバイル機器のワイヤレス充電などで現在実用化されている近接型の給電システムとは異なり電波を利用しており、離れた場所(5メートル程度)への電力伝送が可能なため、IoT時代の新しい給電方式として期待されている。日本国内では、21年に予定されている電波法省令改正により、市場投入が可能となる。

 同社は20年9月に、米アトモシック社(カリフォルニア州)の「M3」の「M3」システムオンチップ(SoC)を自社製品に採用し、IoT市場向けに超低消費電力/長電池寿命の製品開発を積極的に展開していくことを発表した。

 アトモシックのM3SoCは、低消費電力無線技術とオンデマンド・ウエイクアップ機能に加え、エナジーハーベスト機能を備えている。これらの機能を組み込んだリモコンやセンサーなどのIoT機器は、バッテリ依存度を大幅に低減し、長電池寿命化を可能にする。このIoTソリューションは、IoT技術の課題の一つである電池交換の手間およびコストの問題を解決し、また、バッテリ寿命の問題に起因する機器の故障も防止する。

 同社では、開発を進める無線給電関連製品の主な使用用途として、ウエアラブル機器、アセットトラッカー、リモコン、キーボード、マウスなどを想定している。

 アトモシック社は、16年に設立された、米サンフランシスコを拠点する、省電力・長電池寿命SoCを開発するスタートアップ企業。同社が開発した「M3 ブルートゥース5 SoC」は圧倒的な低消費電力を実現しており、20年1月に米ラスベガスで開催されたCES2020で、「2020年CESイノベーションアワード」を受賞している。

 SMKは、中期経営戦略スローガンとして『Creative Connectivity(もっと創造的に、もっと繋がる)』を掲げ、これらを実現するための技術力強化に努めている。オープンイノベーションによる取り組みや、産学官連携などにも積極的に取り組んでいる。