2021.04.19 モビリティーサービスを強化富士通が統合基盤、22日から販売
当面は自動車メーカーや損保5年間で20億円の販売見込む
富士通は、モビリティーデータの利活用を支援する統合基盤「Digital Twin Collector(デジタルツインコレクター)」の販売を22日から開始する。コネクテッドカーやドライブレコーダー映像など車両から集まったデータをサービス化する。当面、自動車メーカーや損害保険会社などに提供、今後5年間で20億円の販売を見込む。
コネクテッドカーやドライブレコーダーを搭載した車両からのデータを収集し、利活用するモビリティーDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)が注目を集めている。
同社は今回、コネクテッドカー、スマートフォン、タブレットなどのさまざまなモビリティーデバイス上の情報を仮想的に統合し管理する基盤「デジタルツインコレクター」を開発、販売を開始する。
15日にオンラインで行った説明会で、今後急速に拡大が予想されるモビリティーサービスの同社の立ち位置について、モビリティ事業本部の井上大悟FMアクセラレータ事業部シニアディレクターは「モビリティーDX、アーバンDXが急速に注目を集めている。当社は、コネクテッドカーなどからのビッグデータを活用したDXにより、各種サービスをつなぐアクセラレーターとして、モビリティー社会のデジタル化に貢献していく」と強調する。
デジタルツインコレクターは、同社の広域分散データアクセス技術をモビリティー分野に機能を拡充。トラフィックスケジューラーにより、モビリティーデバイスからクラウドへの通信量を平準化し安定した通信を実現するとともに、重複を排除したデータ収集が可能。これにより、映像などの大容量データを、必要な時に必要な分だけクラウド基盤に複製し、分析や処理ができるため、通信コストを大幅に抑えることができる。
車載からのデータの活用は、自動車の開発や、交通監視、地図作成、自動車保険査定など、さまざまなモビリティーサービスへの活用が期待されているが、データ量が膨大になり、自動車メーカーや損害保険会社などにとって大きな負担となっている。このため、価値あるデータを十分に利活用できず、限定的な活用にとどまっていた。
同事業部の雨宮宏一郎マネージャーは「モビリティーサービスは、集めるデータが多いほど良いが、ビッグデータの蓄積は、コストが大幅に増大する。これを解決するのが、データを仮想的に管理するプラットフォーム。全てのデータをクラウドに集める従来の方法に対し、コストを50%削減できる」と、強調する。
井上シニアディレクターも「最小のデータで、最大の効果を実現することで、ビジネスモデルが成立する」と、デジタルツインコレクターのメリットを話す。
同社では今回のクラウド基盤の提供により、自動運転システム向けの高精度な地図作成のほか、道路管理運営会社による、路上車両に対しての渋滞や障害物、天候といった道路環境の情報提供などを強力に支援する計画。6月には北米や欧州地域での提供も開始、新たなモビリティーサービスをグローバルに展開していく。