2021.04.22 【関西版】東洋電子工業が水位センサーを開発

実証実験経て今夏発売へ

 東洋電子工業は、近年各地の豪雨災害の顕著化に伴って、需要が高まっている河川の水位観測に利用する水位計を開発している。同社が開発したセンサーは淡水や海水の高い誘電率に着目した静電容量式で、高い測定分解能力の実現とともに長期安定した運用を達成することで、保守コストの削減ができる。センサーのローコスト化を実現し、多地点観測への要望に応える。

 開発は昨年3月からスタート。研究者のニーズから生まれたシステムで「ローコスト」「多地点」という観点から静電容量式を採用し、開発を進めていた。

 今回開発された静電容量式水位計センサーには3軸重力加速度計と温度計が内蔵されており、センサーの傾斜角による鉛直水深や水温による誘電率の変化が自動的に補正される。センサーは棒状の樹脂パイプで構成されており、1本当たり2メートルから8メートルまで計測できるものを製作可能という。

 電源はソーラー電源を使用。電力のない箇所でもスタンドアローンで使用できる。観測データは、携帯網を利用して自動収集する専用のデータロガーも準備する。

 今後、今月末から始まる予定の鹿児島県内での河川での実証実験を経て、今夏から発売する予定だ。林夕路社長は「水位センサーには圧力式のものもあるが、静電容量式と比べると、メンテナンスにもコストや時間がかかる。コストを抑え、かつ、多地点でも使用できる意味でも静電容量式の方が優位。コストを抑えるような形で開発をさらに進め展開を強化したい」と語った。