2025.10.27 ネクスペリア出荷停止、マクニカは「上振れの可能性」 置き換え需要想定、顧客への影響に懸念も

オランダのNexperia社屋(出所、同社)


 オランダの半導体メーカーNexperia(ネクスペリア)の製品が中国から出荷停止となっている問題で、日本のエレクトロニクス商社最大手の持ち株会社マクニカホールディングス(マクニカHD)の三好哲暢代表取締役副社長は27日、同社製品を取り扱っていないため直接の影響はないとしつつ、顧客から製品の置き換えに関する相談を受けており、「若干アップサイド(上振れ)の可能性があるのがポジティブな面」と語った。一方で「顧客の生産が混乱し、当社が本来が計画的に出荷しようとするものに若干の調整が入る可能性がある」と懸念を示した。マクニカHDが同日開催した2026年3月期第2四半期(25年4~9月期)決算説明会で明らかにした。


 ネクスペリアは自動車や家電向けに成熟プロセスの半導体を生産する。もともとはオランダの半導体大手NXP Semiconductorsの傘下だったが、2019年からは中国の電子通信機器メーカー、聞泰科技(Wingtech Technology、ウィングテック)が保有してきた。生産は複数か国にまたがり、中国から完成品を輸出している。同社の説明は、別の対策として他社製品への置き換えを探るメーカーが動き始めたことを示した形だ。


 オランダ政府は9月、経済安全保障上の懸念を理由にネクスペリアの経営権を掌握し中国側は対抗策として出荷を制限。欧州の自動車メーカーへの影響を危惧する声が上がるほか、日本自動車工業会(JAMA)も片山正則会長名義で声明を発表。オランダ半導体メーカーより納品が保証できない可能性について部品メーカーに通知があったことを確認したとし、会員各社が部品メーカーと連携して対応に当たっているという。一方で「該当のメーカーが製造するチップは電子制御ユニットなどに使用する重要な部品で、各社のグローバル生産に深刻な影響を及ぼす事態だ」と訴えた。関係各国により迅速な解決を期待するとしている。