2025.12.12 着々と進む万博会場の解体工事 パナソニックはパビリオンを資源循環

解体が始まった外構部のファサード

「ノモの国」の看板も撤去された
「ノモの国」の看板も撤去された

 大阪・関西万博が閉幕し、会場のシンボルだった「大屋根リング」や各国のパビリオン・企業館などの解体が着々と進んでいる。パナソニックグループのパビリオン「ノモの国」も、閉幕直後から解体に着手。11日には同館を象徴するファサードの解体や看板の撤去が行われ、報道陣に公開された。
 

 パナソニックグループは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」に基づき、「資源循環型のパビリオン」をテーマに掲げ、万博の閉幕後にパビリオンで使う建築資材の99%以上をリユース(再利用)・リサイクル(再資源化)する取り組みを進めている。

 パビリオンの主要な柱や梁(はり)には、約97tの家電リサイクル鉄を使用。さらに、約1.2tの家電リサイクル銅、使用済みの洗濯機約9200台分のガラスを用いた外構の舗装ブロック、約20tの鉄製ファサードフレームなども用いられた。

 また、建築物の大半を占めたコンクリートをはじめ、石膏ボード、プラスチック、塩ビ管、金属屑などの建築資材についても再資源化を図る。

 ファサードの解体は11日に始まった。撤去されたファサードフレームでは、東邦レオや永山祐子建築設計と協業。2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)の「Urban GX Village」エリア内に出展する東邦レオの「STUDIO(仮称)」にリユースされる。

 ファサードを飾ったオーガンジーの布は、「ノモの国」共創パートナーである上田安子服飾専門学校の学生による卒業制作で、服飾材料として活用される。また撤去した看板は、大阪市内の施設に移設される予定だ。

 解体工事は計画通りに進捗(しんちょく)しており、11日時点で建物内部の展示物や設備などは撤去ずみとなり、今後は躯体(くたい)の解体に移る。工期は3月末に終了予定。

 パナソニックホールディングス万博推進プロジェクト総合プロデューサーの原口雄一郎氏は「会期中は大勢の方々に来館いただいた」と述べ、半年の会期が終わり目標以上の来館者を得たという手応えも語った。目標の45万人を超え約47万人が訪れたという。

 原口氏は「(ノモの国は)子供たちに、モノの見方を変えてもらう『UNLOCK(アンロック)』をコンセプトに設計したことから、子どもたちの豊かな表情に触れることができ、それが今も目に浮かぶ。このコンセプトは次の世代に向け引き継がれていくよう、新たな一歩を進めたい」と意欲を示した。