2025.12.12 シスコ、国家サイバー統括室と連携再確認 人材育成と脅威対策で日本の防御力底上げ
国家サイバー統括室内閣サイバー官の飯田 陽一氏(左)とシスコシステムズ シニアバイスプレジデント兼最高セキュリティ&トラスト責任者の Anthony Grieco氏
シスコシステムズは12日、日本のサイバーセキュリティ強化に向け、内閣官房国家サイバー統括室(NCO)とサイバーセキュリティー分野での連携・協力に関する基本合意書を再締結したと発表した。NCOの前身である内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)と締結していた合意を引き継ぎ、枠組みを改めて確認した形だ。
シスコが実施した「サイバーセキュリティ成熟度指標2025」によると、成熟段階に達している日本の企業・組織は全体の2%にとどまる。今回の合意は、日本全体のサイバーセキュリティー水準の底上げを図るとともに、大規模国際イベント時に想定されるサイバー攻撃が準備や運営に与える影響を未然に防止・軽減するのが狙い。
合意書には、シスコのセキュリティー専門家が所属する世界最大規模の脅威インテリジェンスチーム「Cisco Talos」や、人材育成プログラム「シスコネットワーキングアカデミー」の知見を活用し、NCO向けにワークショップを提供するなど、人材交流を進める内容を盛り込んだ。これにより、日本のサイバーセキュリティー体制の強化と人材育成を支援する。
サイバー攻撃による情報窃取や重要インフラの機能停止が深刻化し、安全保障上の懸念が高まる中、政府は「国家安全保障戦略」に基づき、サイバー安全保障分野の政策を一元的かつ総合的に調整する体制整備を進めてきた。その一環として、2025年5月にサイバー対処能力強化法等が成立し、同年7月には内閣サイバーセキュリティセンターを改組。内閣サイバー官を長とする国家サイバー統括室(NCO)を新設した。
NCOは、サイバーセキュリティ戦略本部の事務局機能に加え、行政各部の情報システムに対する不正活動の監視・分析、助言や情報提供、サイバーセキュリティー確保に関する総合調整を担っている。シスコとの再合意は、官民連携による実効的なサイバー防御体制の構築に向けた取り組みの一環となる。







