2021.04.29 富士通が21年3月期連結決算、経営方針進捗説明営業益・純利益が過去最高
経営方針の進捗を発表する時田社長
富士通は28日、決算概要と経営方針の進捗状況を説明した。21年3月期(20年4月~21年3月)連結決算は、コロナの影響や前年のパソコン特需の反動もあり減収となったものの、採算性改善を着実に進め、営業利益、当期純利益ともに過去最高益を達成した。
本業の売り上げは前期比1744億円減だが、コロナの影響1469億円を除くと274億円の減少。「5G基地局などのシステムプラットホーム、デバイスソリューションが増収要因となったが、前年特需の反動減のユビキタスが減収要因。また、テクノロジーソリューションを中心にコロナの影響を受けた」(磯部武司取締役執行役員専務CFO=最高財務責任者)。
ビジネスモデル変革の進捗も予定通りに進展。欧州のプロダクトビジネスは工場の閉鎖、EMS製造移管、R&D機能の集約が完了し、欧州の低採算国からの撤退も計画通り23カ国で完了した。国内のプロダクトビジネスの生産体制効率化も、製造体制を最適化し、大きな枠組みの見直しは今年度で完了する見通しだ。
営業利益は1月公表予想を293億円上回った。ユビキタスソリューションとデバイスソリューションで予想を各90億円上振れした。
22年3月期は、積極的な成長投資で事業拡大と収益力強化を図り、増収増益を計画する。経営方針の進捗状況について時田隆仁社長は、昨年設定した「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスの実現に向けて「For Growth」と「For Stability」で価値を創造し、「お客の事業成長と安定に貢献。社内DXのさらなる実践により、自らを変革していく」などと強調。
▽グローバルビジネス戦略の再構築▽国内での課題解決力強化▽お客さま事業の一層の安定化に貢献▽お客さまのDXベストパートナーへ▽データドリブン経営強化▽DX人材への進化・生産性の向上▽全員参加型、エコシステム型のDX推進、の七つの重点テーマの進捗状況を説明した。
こうした経営目標を達成していくため、「5年間で1兆円以上のFCFを創出し、5000億円以上の戦略的な成長投資を実施している」(時田社長)。