2021.04.30 22年中に超小型EVカーシェア事業本格参入出光興産、千葉・市原で地域振興に活用
超小型EVは、地域住民や観光客らの足として根付くか
石油元売り大手の出光興産は、地域の手軽な移動手段として注目される超小型の電気自動車(EV)などを活用した地域振興に乗りだした。4月30日、千葉県市原市と観光振興などについて協力する包括連携協定を結んだ。第1弾として、市街地でカーシェアリング事業の実証を始める。
協定は、同市内に製油所と石油化学工場を一体運営している同社最大の拠点、千葉事業所が立地している縁で実現した。
出光興産は4月に「出光タジマEV」(東京都千代田区)を設立して超小型EVの生産に参入した。締結式は、同市牛久の小湊鉄道の上総牛久駅で行われ、4月に発足させた出光興産・モビリティー戦略室の小林総一室長や、小出譲治市長らが参加した。
同駅前には、2人乗りの超小型EV(長さ約2.5メートル、幅約1.3メートル、高さ約1.6メートル)2台を設置。市民や観光客の移動手段として利用してもらうカーシェアリングサービス「オートシェア」を展開する。
位置情報ビッグデータの解析といった技術を持つ企業などとも協業し、車両の位置データや観光客が発信するSNS上のデータを組み合わせて分析。観光客に適切な導線が提供されているかや、隠れた観光スポットなどを把握して観光振興にも役立てる。
出光興産は既に、19年8月に岐阜県飛騨市と高山市、20年4月から千葉県館山市と南房総市で、超小型EVを活用したカーシェアリングの実証を進めてきた。今回の実証でも「ニーズ調査や周遊地域の把握」(出光興産広報課)などを主な目的として取り組む。この3カ所での実証を踏まえて、22年中に超小型EVのカーシェアリング事業に本格参入する予定だ。
市原市の協定には、ほかにも、地球温暖化対策や防災対策なども盛り込まれており、出光興産は、ドローン(小型無人機)などの先端技術を導入して地域振興を推進していくという。