2021.05.21 汚泥処理の消化ガスを活用、発電事業に参入石垣、下水処理施設で
完成時のイメージ図
水環境設備の製造、販売を手掛ける石垣(東京都千代田区)は、汚泥処理時に発生する消化ガスを活用した発電事業に参入する。香川県丸亀市が運営する下水処理施設に発電設備を設けて、売電収入を得る計画だ。
石垣はこれまで、小型の水力発電機器の販売はしてきたが、発電事業は初めてとなる。各自治体などが持つ下水処理施設を対象にして、事業を広げていく方針だ。第1弾として、同社と、バイオガス発電設備事業の大原鉄工所(新潟県長岡市)がつくる共同事業体が、丸亀市と事業の協定を締結した。
丸亀市が運営する丸亀新浄化センター(丸亀市昭和町)内に、発電設備を開設する。通常、自治体などが設置するケースが多いが、今回は設計、施工から運営、管理まで民間で手掛ける民設民営方式を導入した。こうした事例は同県内では初めてで、全国的にも多くないという。
丸亀新浄化センターでは、市内の家庭などから1日当たり下水約2万6000立方メートルを処理する。集められた汚泥をろ過や脱水したり、薬剤などで処理したりする過程で、消化ガスが発生する。このガスを燃料として、石垣などの設備に有償で提供。120kWの設備能力で発電する。
従来、処分していたガスを活用して発電することで、クリーンなエネルギーを地産地消できる。年間約50万kWhの発電を見込んでいる。発電設備は2021年4月に着工、24年3月に完成する予定。
消化ガス発電は再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が適用され、四国電力に売電する。24年4月から20年間発電して売電収入を得ていく。
石垣は上下水道事業なども手掛けている。同社企画・広報課は「培ったノウハウを最大限に生かしたい。類似案件があれば、積極的に検討していく」としている。