2021.06.03 【パワーデバイス技術/ロボット・ドローン用部品技術特集】パワーデバイス技術高度化ロボット向け電子部品開発も活発

600V耐圧IGBT IPM(ローム)

ロボット組み立てにも対応可能なワンアクションFPC/FFCコネクター(ヒロセ電機)ロボット組み立てにも対応可能なワンアクションFPC/FFCコネクター(ヒロセ電機)

 電源の小型・高効率化・大電流化に向け、パワーデバイス技術の高度化が目覚ましい。高周波スイッチング化に向けてスイッチング素子の新製品開発が活発化していることを背景に、関連部品の技術開発に力が注がれている。一方、国内外で飛躍的な成長が期待されるロボット向けの電子部品開発も活発化している。高性能化が進むドローン(無人飛行機)も、小型・高性能な電子部品需要をけん引する分野として重要性が増している。

電源技術

 最近のスマートフォンは、5G化により高機能化が進んでいる。5Gスマホは高周波帯域を用い、高速・大容量、低遅延、多接続が特徴。多機能化で電源(DC-DCコンバーター)の搭載点数が増えるとともに、電池の大型化が進み、基板面積は小さくなる。

 このため、DC-DCコンバーター用部品はこれまで以上に小型化が要求される。積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、小型・大容量化の動きが活発化。パワーインダクターは、フェライトからコア材質をメタル系に代替し、巻線、積層、薄膜などのプロセスで小型、大電流対応を推進する。

 自動車分野では、電動車シフトが加速している。xEVは動力にモーターを使用し、コントローラー(制御装置)、発電機、インバーター、二次電池、DC-DCコンバーター、充電器などがモーター駆動関連の重要要素となっている。

 こうしたパワー系ユニットの電源技術は、高温環境、振動・衝撃など自動車特有の条件における信頼性が強く求められるのが共通点。そのため、各ユニットに実装する電子部品への信頼性要求が一段と強まっている。

 再生可能エネルギー入力や高電力密度電池による省エネ給電システムにインバーター回路を組み合わせた双方向コンバーターが実用化され、さらにDC-AC変換損失を回避する高電圧直流給電システム用電源の開発も進展している。

次世代パワー半導体技術

 次世代パワー半導体として、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)デバイスの技術開発が加速している。シリコン(Si)製に比べ、耐高温・高電圧特性や大電流特性に優れ、電力損失も大幅に削減が可能。モジュールの軽量・小型化と省エネ・高効率化を実現するパワーデバイスとして注目されている。

 幅広い電気機器の電力変換器に搭載されるIGBTの性能改善も追求されており、スイッチング時の電力損失を大幅に低減できる新構造のシリコンIGBTなどが開発されている。

ロボット・ドローン用部品・デバイス技術

 ロボット搭載部品には、モーターやセンサー、アクチュエーター、光学部品、無線通信モジュール、タッチ操作デバイス、音声認識デバイス、電源、回路部品、接続部品などがあり、次世代のロボットでのニーズに対応した新製品開発が加速している。

 ロボット用センサーは、機器の高性能化に伴い、一層の高精度化や小型軽量化、耐振動性などが求められている。センサーメーカーは、MEMS技術とパッケージング技術などを駆使することで、汎用(はんよう)性に優れた高精度なロボット用センサー開発を強化している。

ドローン用部品

 ドローン開発では、無線技術や撮像技術、センシング技術、バッテリー技術など多様な技術が必要。事故防止のための安全性向上ニーズも極めて高く、搭載部品への小型・軽量化ニーズも強い。このため、電子部品各社は、無線モジュールやカメラ系デバイス、センサー、電源、回路部品、接続部品などの各分野で、ドローン向けに最適化した製品開発に力を注いでいる。