2021.07.29 【半導体/エレ商社特集】ISSIメモリー以外の事業領域拡大

ザストロー副社長

 ISSIは、DRAMやSRAM、フラッシュなどのメモリー製品とアナログ半導体を開発・販売するファブレス企業。近年、M&Aによる成長戦略を加速させ、新たな事業領域を拡大している。多種多様な製品群を強みに、注力分野でのビジネス拡大を目指す。

 同社は2020年1月にLEDドライバーやオーディオアンプを主力とするアナログミックスドシグナル事業部をルミシルマイクロシステムズ(以下、ルミシル)と改名。ISSIの一部門として事業展開を始めた。高級車を中心に車内外でLED搭載が進み、LEDドライバーは好調に推移。コントローラーコアとCAN、LINなどの自動車用インターフェースも製品群に加え、車載分野への取り組みを加速させる。

 今年1月には電力線を用いた通信規格の一つである「HomePlug Green PHY」に準拠した通信IC「IS32CG5317」を発表。同製品は欧米で採用されている「コンボ方式」のEVおよび充電ステーションに搭載され、充電中のEVと充電ステーション間の通信をサポートする。

 ルミシルでセールスを担当するリン・ザストロー副社長は「自動車の電動化が世界中で加速する中、このソリューションに対する顧客の関心は高い。欧米向けの車両および充電ステーションに必要なデバイスであり、日本のTier1からの引き合いも強い。コンボ方式の国際標準化団体であるCharINに参画し、次世代自動車分野での革新に取り組んでいる」と話す。

 21年度(21年12月期)は市場全体が活況を呈している。一部製品は供給不足となる中、同社では安定供給を続ける施策を実施。パートナー企業との連携を密にし、顧客の生産維持に貢献している。「納期の延長は多少あるものの、代理店とも協力し、安定供給を続ける」(ザストロー副社長)。

 日本市場でも好調。20年度の成長は目覚ましく、19年比売り上げは300%増を達成。ザストロー副社長は「大きな成長を遂げている日本だが、車載分野の売上比率を伸ばせる余地はまだある。LEDドライバーなどを拡販し、車載事業の拡大を進める」と話す。