2021.09.10 パナソニック 米国で家族サポートの新サービス「Yohana Membership」提供開始 〝タスク〟抱える親の負担軽減

様々な「こなさねばならない用事(タスク)」を抱える親たちの負担を軽減する新サービスを立ち上げた

 パナソニックは、子会社で、同社の松岡陽子常務執行役員が設立したウェルネス企業「Yohana」が提供する、忙しい家族のサポートを行う新たなサービスを米国・シアトルで開始した。

 Yohanaは、テクノロジーを活かして、仕事と家庭を両立する忙しい親とその家族が、家族全員の幸せを最優先し、お互いと向き合う時間を大切にするためのサポートに特化した新しいウェルネス企業として設立された。

 Yohanaが提供する第一弾のサービスとして、様々な「こなさねばならない用事(タスク)」を抱える親たちの負担を軽減する、パーソナルアシスタントサービス「Yohana Membership」の提供を、9月9日より米国・シアトルで開始した。

 9日より米国全土からウェイティングリストへの登録が可能になり、シアトルでウェイティングリストに登録した家庭には、サービスの体験利用を案内する。

チャットで連絡取り合う

 「Yohana Membership」では、顧客が「Yoアシスタント」という顧客のタスク遂行を手伝う問題解決のプロフェッショナル(実在する人間)と、「Yohanaアプリ」のチャットで連絡を取り合う。

 顧客には、個別に実在する担当アシスタントがつくため、長期的に信頼と人間関係を築くことが出来る点が他のスマートアシスタントサービスや生産性向上アプリと異なる特長という。

 また利用料も、タスク件数の制限なしに月額149ドル(1日5ドル程度)と、リーズナブルな設定となっている。

 サービスでは、顧客が家のメンテナンス、子どもの習い事や課外活動、自分のための用事、その間にこなすあらゆることなど、無限にあるタスクについて、「Yoアシスタント」に解決を依頼する。

 これを受け「Yoアシスタント」は、社内外の様々な分野別エキスパート、専任リサーチャーや経験豊富なプロフェッショナルの地域ネットワークを駆使し、タスクをこなすための手配を行う。

誕生日パーティーの準備手配

 例えば、顧客が子供の誕生日パーティーの計画を手伝う必要がある場合、「Yohanaアシスタント」は、親が通常行う食べ物、エンターテイメント、その他の準備を手配する。

例えば誕生日パーティに必要な手伝いなど、さまざまな生活サポートを行う

 また、顧客がデイケアプロバイダーやリノベーション請負業者を見つけたい時、「Yohanaアシスタント」は、第三者のネットワークから最良のオプションを調査し、報告してくれる。

 タスクの進捗状況は、両者が「Yohanaアプリ」で確認できるため、すべてのタスクを一緒にやり遂げることができる。

 「Yoアシスタント」は、データシステムと直感的なツールを利用し、完了したタスク一つ一つから学習することで、会員独自の好みに合わせた解決策の提案が出来るため、より速く、より巧みにタスクを完了できるようになる。

家族の幸せをサポート

 新型コロナウイルスが流行する前から、仕事と家庭の両立は、親や家族に大きな負担をかけていた。米国では、コロナ禍以降、精神状態の悪化を訴える母親やバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る母親が多くいると言われている。

松岡陽子パナソニック常務執行役員(Yohana創業者兼CEO)

 松岡陽子(Yoky Matsuoka)Yohana創業者兼CEOも、仕事と家庭の両立をする4児の母で、コロナ禍でこうした課題に直面した。

 「4児の母親、妻、高齢の親を持つ娘、そしてCEOとして、山ほどある仕事を今までは何とかこなしていました。それが、コロナ禍により、夫も私も、生活をまったくコントロールできなくなってしまいました。何百万人もの女性や家族も同じ経験をしています」という。

 そうした中、「技術者として歯がゆく感じたのは、多くのイノベーションがあるにもかかわらず、家族が幸せで、最も良い状態でいられるようにサポートするためのものが無いことでした。そこで、最先端のテクノロジーと人間を融合し、真のソリューションの開発に取りかかることにしました」と新サービス開発に至った理由を説明する。

日本などサービス展開を検討

 Yohanaは、様々な忙しい家族が、幸せを最優先し、心豊かに生活ができるくらしを実現することを目指して、今後、「Yohana Membership」会員プラン、価格、利用可能なタスクの種類をさらに進化・拡大させるとともに、日本も含め同サービスを必要とする顧客がいる地域を中心に展開を検討していく。

 松岡CEOは、「自分の全キャリアをかけて人々がベストな状態でいることを可能にするテクノロジーとソリューションを確立しました。Yohana Membershipを第一弾とし、家族の幸福感を高める個人向け製品・サービスの創出を目指していきます」とコメントする。

 松岡氏は、グーグルのヘルスケア部門の副社長から19年10月にパナソニックのフェローとして迎えられ、現在は同社常務執行役員でくらし事業戦略本部長を務める。

 同氏はグーグルをはじめグーグルに買収されたNest(ネスト)の最高技術責任者(CTO)、またアップルの経営幹部や、ウェアラブルヘルステクノロジーのベンチャー企業であるQuanttus(カンタス)の最高経営責任者を務めるなど、技術者として、経営幹部として、豊富な経験を持ち、テクノロジーで生活のサポートを行い、人々のくらしを良くするためのサービス、製品開発に力を注いでいる。