2021.10.05 海外の脱炭素テック特化ベンチャー向けファンド エネチェンジが創設、国内市場に参入支援

オンラインで会見する城口CEO

 再生可能エネルギー関連のファンド創設が相次ぐ中、電力比較サイトを運営するENECHANGE(エネチェンジ、東京都千代田区)は9月30日、海外のエネルギーベンチャーに特化したファンドを立ち上げたと発表した。投資を通じて、先行する海外の技術や事業を取り込むことを目的に、国内市場への参入も支援する。

 参画するのは、日本ユニシスと東芝エネルギーシステムズ。ほかにも出資社などを募り、約50億円強の規模のファンドを目指す。

 同日に開いた会見で、エネチェンジの城口洋平CEOは「世界において脱炭素分野への投資が圧倒的に進んでいる」と語った。海外では、エネルギー系の先端技術を持つ企業を指す「脱炭素テック」のベンチャーに、過去10年間で約10兆円が投資された実績などにも言及した。

 こうした世界的トレンドに乗る方法を、城口CEOは「投資を通じて対話し、国内での事業連携の交渉をする」と述べ、今回のファンドの目的に挙げた。国内市場への展開に関心を示すベンチャーなどを投資の対象にしていくという。

 同社によると、国内全体の二酸化炭素(CO2)排出量の93%がエネルギー起源とされ、エネルギー業界では急速な脱炭素化に向けた技術のイノベーションが求められている。今回のファンドでは、先行する海外の成功技術や事業を「目利きして」(城口CEO)投資し、国内市場への参入支援を通じて、国内での脱炭素化を加速させる狙いがある。

 国内の電力消費量は、中国、米国、インドに次いで4番目だが、上位3カ国はまだ電力が自由化されていないといい、日本は「世界最大の電力自由化市場」(城口CEO)とされる。海外の脱炭素テックベンチャーにとっても魅力的な市場だという。

 既にファンドの投資先として、脱炭素テックベンチャー10社以上と協議を続けており、電気自動車の充電インフラ関連や屋根上太陽光発電などの技術を持つ欧米の企業が中心となっている。

 エネチェンジが手掛ける海外特化型の脱炭素エネルギーファンドは2号目となる。再エネ系新電力Looop(ループ、東京都台東区)などと19年に設立した1号ファンドでは、電力ビジネスの先進地である欧州などで、エネルギー系のベンチャー企業のほか、新興国の再エネ事業も投資対象としてきた。

 ベンチャーでは、米国の再エネ発電所向け次世代蓄電池メーカーなどへの投資実績があるという。