2019.11.22 【東京インターナショナルオーディオショウ特集】世界のハイエンドブランド一堂 高み体験の絶好の機会
(写真1)左側にデジタル、右側にアナログ装置を配したダイナミックオーディオの試聴室
芸術の秋、オーディオの秋を迎え市場の動きが活性化している。日本オーディオ協会(JAS)が14年6月に制定した新しいデジタルオーディオの音質基準〝ハイレゾロゴ〟の浸透が作用し、ヘッドホン/イヤホンオーディオの台頭による若年層の参入。派生的に巻き起こったアナログレコードの完全復活など話題は尽きない。
4K8Kコンテンツの充実でホームシアター化への関心も高まってきている。世界中のハイエンドブランドを一堂に会した〝2019東京インターナショナルオーディオショウ〟が22-24日、東京・有楽町駅前の東京国際フォーラムで開催される。
■ハイレゾ普及が市場活性化に貢献
ハイレゾのスペックは音域(再生周波数の幅)がCDの4倍以上で、音の強弱の階調(精細さ)は256倍にもなる。音の良さが保証され、ハイレゾのロゴを冠した製品は世界各国で発売されている。
18年11月に、ブルートゥース搭載機器を対象に〝ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ〟も制定され、今や市場をリードしているワイヤレスのヘッドホン/イヤホンのさらなる普及が期待されている。
■アナログレコードの完全復活も追い風
グラフ1は、日本国内のアナログレコードのプレス枚数の推移。ハイレゾで耳が肥えたオーディオファンが注目したのは、アナログレコードだった。
空気の振動の音を連続的に扱うのがアナログで、連続量を段階的な値として標本化・量子化するのがデジタル。原音に近い再生ができるアナログレコードの音が、CD世代の若者を捉えている(写真1)。
この現象は世界的で、米国は08年頃から復活の兆しが現れ、英国と日本は12年頃から。18年に日本111万枚、英国420万枚、米国1680万枚とそれぞれ記録を更新しており、世界の出荷枚数は2000万枚を突破している。
■真空管アンプへの関心も高い
真空管アンプは、これまで一部のマニアが愛好する製品だったが、アナログレコード復権に合わせて人気が再燃している。
台風19号が来襲した10月13、14日に、東京・秋葉原の損保会館で行われた〝真空管オーディオフェア〟には多くのファンが詰めかけて各社のイベントは満席の盛況(写真2)。
カメラ量販店の中には真空管アンプのキットを扱う店もあり、アナログオーディオも期待の成長分野になってきている。
■無線化トレンドのヘッドホン/イヤホン
アイフォーンがワイヤードイヤホン端子をなくしたのを契機にブルートゥース搭載のワイヤレス製品が販売の過半数を占め、イヤホン部が左右独立で耳に差し込む完全ワイヤレス製品が幅広い層に支持され売れている。
〝ヘッドホンオーディオ〟と呼ばれる新しい音の楽しみ方は、中高年齢層にも広がって、アウトドアだけでなく家庭内でも家族に気兼ねせずに好みの音楽を楽しむ層も増えてきた。
屋外スポーツ、通勤用ノイズキャンセル機能付き、屋内音楽鑑賞用、eスポーツ用など、幅広い層を取り込んでいる。世界的なハイエンドブランド製品にも無関心が高まってきた(写真3)。
■ハイエンドオーディオも堅調
中級からトップエンド製品を扱うオーディオ専門店のダイナミックオーディオは「ハイエンド製品に関心を持つ、若い世代からの手応えを感じている」とし「スマホをはじめ、良質の音楽が簡単に聴ける環境が整い、若い層にも音楽聴取体験をさらに高めたいという人が増えているのではないか。東京インターナショナルオーディオショウは高みを体験できる絶好のチャンス。期待している」と話す。
今年はウォークマン誕生40周年。記念モデルがオーディオの裾野を広げる引き金となることに期待する関係者も多い(写真4)。
【東京インターナショナルオーディオショウ特集】目次
●世界のハイエンドブランド一堂 高み体験の絶好の機会
●オーディオ活性化を支える〝ハイレゾ〟の現状
●アキュフェーズ プリメイン・アンプ「E-800」
●パナソニック スーパーオーディオCDプレヤー「SL-G700」
●ラックスマン 旗艦真空管コントロールアンプ「CL-1000」