2021.10.29 【次世代自動車用部品特集】自動運転車の開発動向レベル4以上の実用化に照準
自動運転車/完全自動運転車の実現に向けた技術開発が世界各国で活発化している。今年3月には、ホンダが世界初となる「自動走行レベル3」の型式認定を取得した新型レジェンドを発売した。欧米や中国などでは、自動走行レベル4に向けた開発・実証実験なども加速している。自動運転の本格実用化に向けた法整備も各国で進みつつある。
現在の自動車産業は、「100年に1度の変革期」にあるとされるが、自動運転技術はモビリティー革命をけん引する最重要技術の一つ。日米欧や中国などの主要な自動車メーカーは、2021~22年ごろの実用化をターゲットとした「自働運転レベル3」対応車両の開発を加速させるとともに、将来の完全自動運転車を見据えた研究開発に力を注いでいる。
完全自動運転に必須とされる第5世代移動通信規格5Gの自動車分野での適用も、25年ごろから本格化していく見通し。
自動運転車のレベルは、自動走行システムの性能の性能により、「レベル1」から「レベル5」までの5段階に分類される。自動車各社が研究開発のターゲットとするのは、「加速(アクセル)」「操舵(ハンドル)」「制動(ブレーキ)」の全ての操作を車両側システム自身が行う「レベル3」以上の車両。
レベル1と2は、「システムがドライバーの運転支援を行う」位置付けであるのに対し、レベル3以上の車は、「システムが運転の主体を担う車両」として明確に区分される。レベル3では通常時は全操作を車両側が行い、緊急時のみ人が操作する。このため、完全自動操舵システムや高精度な物体認識技術、V2X通信、高品位な通信技術、3次元地図データなどさまざまな技術の融合が必要。道路インフラ整備や法整備も必須となる。
自動運転車の開発では、さまざまな情報を基に車自体が状況を正確に把握して適切な判断を下すため、人工知能(AI)やディープラーニングの活用も重要。状況変化に瞬時に対応するため、「エッジコンピューティング技術」も重視される。
自動運転の将来的な方向は、高速道路などの限定領域内で運転操作の全てを車側が行い、ドライバーは一切操作に関与しない「レベル4=高度自動運転化」が志向され、25年から30年ごろが実用化ターゲットとされる。最終的には、一般道も含む全ての公道でドライバーが一切運転に関与しない「レベル5=完全自動運転化」が目標となる。
自動運転技術は、ヒューマンエラー排除による交通事故削減や渋滞緩和、ドライバーの負荷軽減に加え、少子高齢化が進む中での移動支援、過疎地のドライバー不足対策、物流分野での人手不足対策といったさまざまな社会課題を解決する上でも、より重要性が高まると考えられる。
人が運転から解放されることに伴う、新たな付加価値の創出や時間の有効活用などにもつながることも期待されており、これらに照準を合わせた新たなカーエンターテインメント機能の研究開発なども進展している。