2021.11.05 【東京インターナショナルオーディオショウ特集】TIASに寄せる思いアキュフェーズ・鈴木雅臣社長×ラックスマン・末吉達哉社長
鈴木・アキュフェーズ社長(右)と、末吉・ラックスマン社長
インターナショナルオーディオショウに寄せる思いなどについて、アキュフェーズの鈴木雅臣社長と、ラックスマンの末吉達哉社長に対談していただいた。
末吉氏 ステレオで音楽を楽しむのは、単に録音されたものを鳴らすということではなく、自分好みのシステムで、自分好みの機械でどう再生するかということで、いわば再生芸術。
鈴木氏 1983年に第1回が開かれた際は、「夢の輸入オーディオショウ」と銘打ち、副題に「憧れの海外オーディオコンポーネントを一堂に!」とあった。輸入代理店が集まって出展し、国内のものは基本的に展示されていなかった。
末吉氏 当社は輸入品も扱っていた関係で、第10回当時から参加していたようです。
鈴木氏 当初はホテルが会場で、会議室や客室を借りていた。ベッドを外してレイアウトするといったこともしていた。ただ、音も漏れるし、部屋の調度品が音響のうえで不都合といったこともありました。それで、国際フォーラムに会場を移した。
鈴木氏 国際フォーラムは防音などもしっかりして、使いやすいし、交通も至便。北海道から沖縄、今回は難しいが海外からもファンが集まる催しの会場としては最適だ。
末吉氏 残念ながら、準備が佳境に入ったのが、感染拡大が最も懸念されていた時期。今(10月)から考えれば、少し過剰だったかもしれないが、人数を半分程度に絞り、事前予約とさせていただいた。システムもそれに合わせて構築した。万が一にもクラスターなどを発生させてはいけないので。
また、本来は海外にも大きくPRするところ今回はそれも控えた。予約の際の様々なデータ入力など、来場者の方にはご不便をおかけしているが、万一の際の対策の意味でも、ご理解・ご協力をいただいている。
鈴木氏 リモートのイベントなども様々にあって、「ああ、こういうこともできるのか」と気づかされた。時間や場所の制約を受けずに音楽を楽しめる機会が増えた。
一方で、ハイエンドオーディオで、スピーカーから出てくる音を楽しみたい、という人もいます。アンプのつまみを回したいとか、ボリュームの手ごたえといったものも含めてトータルに楽しみたいと。リモートでは残念ながらそれがない。
やはり実際にその場で触って、聴いて、楽しんでもらいたい。今回、事前予約が早々と埋まってきたのは、期待のあらわれでしょう。
末吉氏 中にはどうしてもオンラインで手続きができないという年配の方が当社に電話をかけていらして、そうした方には臨機に対応している。私が30分ほど電話のお相手をしたこともあります(笑)。
まだ若い娘さんが、ガラケーしかもっていないお父さんの代わりにオンラインで予約し、「父のもとへ、予約のQRコードをファクスしたが、鮮明に読めるか心配」と電話をかけてみえました。音楽好きのお父さんの外出を家族で応援してあげようという思いが伝わってきて、ありがたかった。
鈴木氏 お客さんに会える、情報提供できる、ということのありがたさを私たち自身、改めて感じている。ファンに支えられている業界ですから。
通りかかった人にも気軽に入ってもらうショウが本来の姿で、次回以降は、その在り方に戻れたらいいと思う。ファン層を広げる意味でも。
末吉氏 コロナ禍で、音楽の価値も改めて見直されている。巣ごもり需要もあってか、当社もメンテやオーバーホール、修理の依頼が増えました。長年のファンの方にも、また、オーディオの世界に関心を持った方にも、ぜひ足を運んでほしい。
鈴木氏 全国のオーディオショップの方も、お客さんのアテンドや、店としての情報収集などのため、各地からいらっしゃる。そういう方も含め、対話できるのも、出展側としての喜びです。
末吉氏 音楽は趣味の世界とも思われがちだが、心を豊かにする、生活になくてはならないもの。