2021.11.23 INPEX、初の環境債、100億円発行地熱、洋上風力拡大に充当
石油開発国内最大手のINPEXは、初めてとなるグリーンボンド(環境債)を発行した。発行額は100億円。同社は、これまでの開発技術を生かせる風力発電や地熱発電を中心に再生可能エネルギー事業を広げており、開発や改修、運営、資金の借り換えなどに充当する予定。
同社は1月に公表した事業ビジョンで、自社の事業で排出する二酸化炭素(CO₂)を2050年にネットゼロにする目標を掲げ、取り組みを強めている。
再エネ事業では、13年に新潟県上越市の同社敷地内に最大出力2000kWの太陽光発電所を開設したのが、電源稼働としては初。
15年にはインドネシア・スマトラ島のサルーラ地熱発電事業への参画を表明した。伊藤忠商事などが共同出資する事業会社が開発を進めたもので、3号機までの総出力は330MWに達し、国営電力公社に売電している。
国内でも北海道の阿女鱒岳(あめますだけ)地区や、秋田県の小安地区で開発プロジェクトを推進。地熱調査の途中で、まだ投資決定はされていないが、事業化を検討している。
風力発電は洋上風力に狙いを定めて計画を進める。一般海域として国内トップを走る長崎県五島市沖では、準大手ゼネコン戸田建設を代表とする事業に参画しているほか、秋田県沖でも住友商事などと共同事業体を設立し、建設を目指している。
INPEXが再エネ事業を加速させる中で今後傾注していくのは地熱と風力発電だという。今回のグリーンボンドの使途として風力と地熱を明記した。
広報・IRユニットは「地熱は、地下を掘る当社の掘削技術や経験が十分に生かせる分野だ。また、洋上風力では海上に構造物を建設することになるが、石油開発事業で経験を積んできている」と説明する。