2021.11.24 バイオマスプラスチック保持器搭載深溝玉軸受開発日本精工がエアコンファンモーター向け
日本精工が世界で初めて開発、製品化した「バイオマスプラスチック保持器」搭載の深溝玉軸受
日本精工はこのほど、世界で初めて100%植物由来の耐熱バイオマスプラスチック保持器を搭載した深溝玉軸受を開発し、同軸受をエアコンファンモーター用軸受として製品化した。
地球温暖化などの環境問題を背景として、カーボンニュートラルの実現に向けた社会的取り組みが注目される中で、化石燃料由来のプラスチックに代わって植物を原料とするバイオマスプラスチックの普及が期待されている。しかし、バイオマスプラスチックの機械部品への適用には強度や耐熱性が課題とされてきた。
同社はコアテクノロジーの一つである材料技術を活用し、転がり軸受用樹脂保持器として利用可能なバイオマスプラスチック材料にDSM社のEcoPaXX(エコパックス)を選択して材料特性を評価し、樹脂保持器への適用を実現した。
同社独自の解析技術を駆使して、最適な射出成形条件や軸受回転時の負荷を予測。解析結果を基に樹脂保持器を試作し、軸受回転時の挙動を可視化することで、保持器としての性能を評価した。
新興国の中間所得層の増加や、新型コロナウイルス感染拡大による換気機能付きなどの高機能エアコンへの買い替え需要の高まりを受け、エアコンの販売台数増加が見込まれている。
エアコンのファンモーター用の軸受には、信頼性に加え、静音性や低摩擦が求められている。同軸受は静音性、低摩擦に関する機能評価実験で、従来のプラスチック保持器と同等の性能を有することを確認し、従来保持器からバイオマスプラスチック保持器への置き換えを可能にした。
また、プラスチック保持器は鉄保持器に比べ軽量、低摩擦、複雑な形状が可能という三つの特長があり、小型軸受を中心に広く採用されているが、プラスチック保持器をバイオマスプラスチック保持器に置き換えることで、カーボンニュートラルに貢献する新たな価値を提供する。