2021.12.07 【SMD/基板内蔵部品特集】小型・高機能化 加速高密度実装化ニーズ対応

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー

 表面実装技術(SMT)の高度化を背景に、チップ部品(SMD)の技術進化が目覚ましい。第5世代移動通信規格5GスマートフォンやIoT端末、自動車のECUや各種モジュールにおける高密度実装化ニーズの高まりが、SMDの小型・高機能化を加速させている。

 SMDのグローバル需要は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う2020年前半の低迷を経て、20年夏場以降、需要が回復。以降、当初の想定を上回るペースで需要が増大し、21年もここまで好調な推移が継続している。自動車や産業機器関連の需要回復や、堅調なハイエンドスマホ、リモート・巣ごもり関連のパソコン、タブレット、ゲーム機需要などがSMD市場の成長を支えている。足元の需要も、半導体不足による完成品や完成車の生産への影響が懸念されている中でも、多くの分野で堅調さが継続している。

 SMD各社は、今後も機器の小型・高機能化に照準を合わせ、積極的な新製品開発を推進する。拡大する需要に対応し、生産体制増強への動きも活発化している。

製品別動向

 抵抗器は、自動車のADAS/自動運転技術の高度化や電動化に照準を合わせた新製品開発が進展。さらに、5GスマホやIoT端末向けの超小型品開発などに力が注がれている。

 5Gスマホ向けは、0603サイズ、0402サイズの需要が伸びる見通し。電源回路では、電流検出用途で低抵抗チップが用いられ、中でも金属板タイプの需要が伸びている。最小サイズは1005サイズ。

 モジュールでは部品内蔵基板で小型化する動きも見られる。銅メッキ接続方式の場合は銅メッキ電極を形成した専用部品が必要で、チップ抵抗器では厚みが0.13ミリメートルまで極薄化している。IoT関連の端末、モジュールは小型化が今後もさらに進む。次世代チップとして、0201サイズの提案も始まっている。

 車載では、電源周辺部の回路向けに硫化に強く硫化発生による抵抗値断線を防ぐ耐硫化チップ抵抗器が使用される。エンジン制御回路のほか、各種ECUなどでは耐サージチップ抵抗器が搭載される。金属板抵抗体が製品ボディーを兼ねるパワー低抵抗チップ抵抗器の大電流、ハイパワー、低抵抗化技術も進展している。

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、車載向けに低損失、三端子、共振用、高耐熱、高電圧、大容量化への開発が進む。5G用では超小型かつ大容量化への動きが活発で、0402サイズや0603サイズなどの超小型品の大容量化が進展している。最小の0201サイズでは、0.1マイクロFまで大容量化が進展。基板内蔵用は、厚み0.064ミリメートルまで極薄化している。

 アルミ電解コンデンサーは、電解液タイプに加え、ポリマータイプ、ハイブリッドタイプのラインアップが充実。ポリマー系は、車載、5G基地局向けの需要に対応する。ハイブリッドコンデンサーは、低ESR、高信頼性の高耐電圧が特徴。ECUなどでの採用が本格化し需要が急増している。最近は150度対応品投入も活発化している。

 タンタルコンデンサーは、タンタル粉末のCV積を大きくすることで、容量が飛躍的に拡大。モールド構造から下面電極構造にすることで薄型化が図られている。現在は厚み1ミリメートル内外まで薄型化が進んでいる。

 インダクターも5Gや車載を中心に技術革新が進む。高周波インダクターは、高Q化、高精度化と小型化を兼ね備えた製品が要求される。現在は0402サイズでの高Q化技術が進展している。

 電源用パワーインダクターは、フェライト巻線型、フェライト積層型のほか、近年はメタル系パワーインダクターでの巻線、積層、薄膜があり、1608サイズなどの小型化が進展。メタル積層チップパワーインダクターは1005サイズも製品化されている。車載用インダクターは信頼性が強く求められ、ECU用では125度対応から150度対応へと耐熱技術が高度化。180度対応品も開発されている。

 車載用温度センサーの技術開発も活発。1005サイズで、マイナス55~プラス150度の使用温度に対応し、抵抗が最大100kΩの導電性接着剤実装用チップNTCサーミスターなども開発されている。