2021.12.22 日立アステモが検査未実施など不適切行為特別調査委を立ち上げ

冒頭、頭を下げるコッホ氏(右)ら

 日立Astemo(アステモ)は22日、ブレーキ構成部品とサスペンション構成部品で、試験の未実施など不適切行為があったと発表した。2000年から不適切な検査が続いていたものもある。不適切行為は是正した上で、安全性や性能は確認できたとしている。同社は社外弁護士による特別調査委員会を設置。事実関係や発生原因の調査を来年半ばをめどにまとめ、処分も決める。既に取り組んでいるものを含め、品質保証体制の見直しやコンプライアンス強化を図り、再発防止と信頼回復に取り組むという。

 問題が分かったのは、山梨工場(山梨県南アルプス市)で製造するブレーキ構成部品と、福島工場(福島県桑折町)で製造するサスペンション構成部品。

 山梨工場では、製品の「工程検査」や「出荷検査」とは別の「定期試験」といわれる抜き取り試験について、顧客との間で定めた試験項目が守られていなかった。5製品・9顧客向けについて、定期試験を実施せずに顧客向け報告書にデータを記載する例が、2003年10月から今年3月の間に、全体の8割近い約5万7000件あった。安全性や性能を確認する工程検査や出荷検査は実施されていた。

 また、福島工場でも定期試験でデータ書き換えがあったほか、出荷検査で規格外れの製品も出荷するなどの不適切な対応をしていた。文書が残っていないことなどから、まだ全体像は分かっていないが、サスペンションは基本的に安全性に関係せず、確認の結果、性能にも基本的に問題は見つかっていないという。

 社員から担当部門への申告があり発覚。社内調査を進めつつ、安全性や品質の確認をするとともに、他工場で類似の例がないか確認したという。さらに調査を深めるため、調査委を設けた。

会見するコッホ氏(右)

 オンラインで会見したプレジデント&CEOのブリス・コッホ氏は「問題が長く続いたことは遺憾。透明性の欠如が大きな要因と思われる」とし、人材不足や人材の流動性欠如などの課題を挙げ、自動化など防止策に取り組み始めていることを強調した。
(24日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報予定です。)