2022.01.03 【2022年 我が社の戦略】THK・寺町彰博社長

寺町 社長

「OMNIedge」を事業の柱に

 THKは、LMガイドをはじめとした機械要素部品から自動車部品、免震システムなどのほか、ロボット分野にも本格的に進出するなど事業を拡大している。寺町彰博社長に今年の戦略を聞いた。

 ―今年の産業機器市場をどのように見ていますか。

 寺町社長 自動車の生産がどこまで順調に進むかによってFA系設備の需要が左右される。部品不足が2022年半ばまで続くとの予想もあり、22年前半は景気の減速への懸念は避けられない。後半に部品不足が解消されれば、年間では21年の水準で推移するのではないか。

 ―18年に増築したベトナム工場、20年11月に稼働した韓国の新工場など、世界各地で生産を増強されています。

 寺町社長 中国でも江蘇省常州市のTHK(常州)精工と、遼寧省大連市のTHK(遼寧)精密工業の2工場に新棟を建設している。

 中国は国内向け製品の受注が好調に推移している。中でも工作機械、一般機械、エレクトロニクス関連をはじめ、最近ではEV向けリチウムイオン二次電池に関連する設備投資が増加している。

 THK(常州)精工は、アクチュエーター、ユニット製品を製造しているが、第2期工事として建設する新棟は約1万5000平方メートルの規模で22年3月の完成を予定している。THK(遼寧)精密工業は、LMガイドをはじめとする直動製品の製造を増強し、主力製品の生産能力を拡大することで長期的な安定供給体制を整える。第3期工事になる新棟建設は約2万5000平方メートルの規模で、完工予定は22年12月を予定している。

 ―インドの新工場について。

 寺町社長 インドは21年秋に完工、稼働させた。土地面積20万5000平方メートル、第1期床面積3万7000平方メートルの規模でLMガイドを生産する。インドは今後、積極的に拡大するが、今のところ国内需要が少ないため6、7割はASEANや欧米など海外向けを生産し、国内需要が増大すれば9割をインド国内向けの工場とする。インド工場は当社の主力工場に育てたい。

 物流やBCPの観点からも地産地消を推進するが、課題は日本品質を確保できる部材の調達にある。エリアごとにサプライチェーンを確立したい。

 ―製造現場の生産効率向上を実現するソリューションであるIoTサービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の事業が、本格的になってきました。

 寺町社長 計画通り進めており、順調に実績が上がっている。しかし、LMガイドやボールねじなど、当社のグローバル納入台数からすれば、数字的にはこれからであり、少なくとも10%を占めるまでには拡大したい。新規設備向けもあるが、既設の装置に取り付けられることから、幅広い業種での実績が上がっている。

 機械メーカーよりも実際に設置しているユーザーに安心してもらう。OMNIedgeは、当社の機械要素部品を安心して使ってもらうためのサービスであり、モノづくりの現場に質の高いサービスを提供することを目的としている。

 ―産業用ロボット、サービスロボット両分野でロボット事業を強化されていますね。

 寺町社長 人手不足が年々深刻化し、製造現場やサービス業ではロボットの導入機運が高まっており、人とロボットが共存する時代が到来している。自動化、省人化は当社にとっても追い風になっている。

 ロボットのメンテナンスまで含めた仕組みを提供したい。