2022.01.03 事務機各社 中長期戦略を加速DX、環境など切り口に高付加価値提案企業目指す

デジタル化をけん引する複合機ビジネス

 デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)、環境などを切り口に事務機各社が中長期を見据えた戦略を加速させる。コロナ禍で、ビジネス環境は大きく変化した。オフィスとテレワークのハイブリッドな働き方が定着。また、紙などのアナログからデジタルへの転換が加速している。こうした大きな環境変化の中で、各社では、高付加価値提案企業を目指した新たな成長戦略にかじを切る。

 リコーは、昨年4月に「OAメーカーからの脱皮」と「デジタルサービスの会社への事業構造の転換」を目的に五つのビジネスユニットからなる社内カンパニー制を導入した。2021年度から25年度までを「リコー飛躍」と位置付け、成長に向け大きくかじを切っている。デジタルサービスビジネスユニットでは、長年のオフィスプリンティング事業で築いた「信頼」と「人材」をベースに、複合機などのエッジデバイスとオフィス事業を組み合わせ、さらなる価値提案に取り組む。取引顧客数、顧客接点力、エッジデバイスの数などを競争力の源泉として、新たな価値提供を強化する。山下良則社長は「お客さまに寄り添うスピーディーな対応で、事業競争力の強化と資本収益性の向上を図っていく」と強調する。

 昨年4月に社名を富士ゼロックスから変更した富士フイルムビジネスイノベーションは、HOYAのIT子会社を買収、この1日付で新会社富士フイルムデジタルソリューションズを発足させ、基幹システムビジネスに本格参入した。真茅久則社長は「将来に向けてITソリューションを中心とした会社に変革、お客さまの企業改革に欠かせないパートナーとして、DXソリューションを加速させる」と強調する。同社では、今回の買収を機に、基幹システムビジネスを、複合機ビジネスに次ぐ中核事業に成長させる。

 キヤノングループは、昨年、5カ年計画の「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ」を策定。生産性の向上と新規事業創出によるポートフォリオの転換を進めてきた。2年目は、新規事業強化などさらに大きく踏み出す。

 キヤノンマーケティングジャパンでは、サービス型モデルの拡充により、収益性の高いITソリューション事業を強化する。足立正親社長は「ITソリューション事業の中でも、収益性の高い保守・運用サービスやアウトソーシング領域を強化し、高収益な事業を確立するとともに、25年にはITソリューション事業の売り上げ3000億円を目指して取り組む」と強調する。

 セイコーエプソンは、21年度に長期ビジョン「Epson 25 Renewed」、「環境ビジョン2025」を策定した。小川恭範社長は、昨年末に行ったオンライン会見で「積み上げてきた戦略の実行スピードを加速させる」「2050年にカーボンマイナスと地下資源ゼロを達成させる」など長期を見据えた経営方針を強調した。

 同社は、「〝省・小・精の技術〟とデジタル技術で、人・モノ・情報がつながる、持続可能な社会を目指す」ことを企業理念として、「環境」「DX」「共創」をテーマにした戦略を加速させる。今後10年間で1000億円を投入、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出は、200万トン以上の削減を図る方針だ。

 コニカミノルタは、事業ポートフォリオ戦略「DX2022」を推進する。強みとするイメージング技術をベースに、「顧客自身も気づかない課題を可視化し、顧客の『見たい』欲求に応え最適な解決策を見出してく」として、ワークフォロー・バリューチェーンを俯瞰(ふかん)した「as a Service」(アズ・ア・サービス)モデルで顧客価値を提供していく。

 顧客、パートナーとともに社会のDXを加速させる画像IoTプラットフォーム「FORXAI」による顧客課題解決パートナーエコシステムで、デジタルソリューションを加速させる。