2022.01.11 英国・北海油田から撤退JX石油開発、全権益を売却

 石油元売り最大手のENEOSホールディングス(エネオスHD)は、グループで探鉱や開発事業を担うJX石油開発(東京都千代田区)が保有する英国の子会社(ロンドン)の全株式を売却する。英国・北海の油ガス田で複数の権益を持つ子会社で、この売却で同グループは北海油田から撤退することになる。

 株式は、英国の資源開発会社に売却する。売却額は16億5500万ドル前後とみられる。3月に売却を予定する。

 権益を持っていた北海油田は、2021年度上半期には原油と天然ガスを合わせて日量約3万を生産。JX石油開発が世界で生産する原油、天然ガスは日量約12・5万に達しており、今回の売却は全体の25%程度に相当する。

 同グループは40年長期ビジョンで、石油、天然ガス事業を「成長事業を支えるため、グループ全体のキャッシュフローを確実に創出する基盤事業としての役割」と位置付け、「既存資源の価値最大化、選択と集中によるポートフォリオの見直しを実行してきた」(エネオスHD)。

 JX石油開発は、今回の売却も「ポートフォリオ戦略の一環だ」とする。同社では、環境対応型事業を成長事業として推進。ベトナム、マレーシア、豪州や米国などで、二酸化炭素を回収して地下に貯留するCCSなどに取り組んでいる。こうした事業を積極的に拡大していくための戦略でもある。

 油価が暴落しても持続的に事業を運営できるよう、近年、ポートフォリオの整理を進めてきており、「今回の案件で大型の資産売却は、おおむね一段落した」(同社)。