2019.12.06 お客さま目線での店づくり シンセツ電器さがみ野(神奈川県海老名市)
40周年の大創業祭に合わせて店内を改装したシンセツ電器さがみ野
パナソニック系シンセツ電器さがみ野(神奈川県海老名市)が、40周年の大創業祭を開催するに当たり、店内改装を行った。地域店にとって店内改装はそう簡単にできることではない。そのため、それぞれが持つ客層を意識した店づくりや、遊び心を入れることも地域店ならではのこだわりと言える。
同店は12月6-8日に40周年の大創業祭を開催した。同時に店内を大改装。目黒栄二社長は開催前の2週間ほどは店づくりに徹し、自分の思いを店内に反映した。
20年前に自宅兼店舗を建て替えた同店。その際は「内装や什器などを業者に任せてしまった」(目黒社長)ことで、イメージ通りにならなかった経験があった。今回は二の轍を踏まないようにしっかりとかかわり、「思うような店づくりができた」と目黒社長は満足げだ。
約40平方メートルの店内は地域店としては決して広い方ではない。冷蔵庫や洗濯機、住設機器など場所をとる商品を展示してしまえば、一気に店内が狭くなる。
そこで同店では冷蔵庫や洗濯機、洗面台などのリフォーム機器を思い切って展示しないことにした。従来は店内中央に商品の展示棚を作っていたが、それも取り払い、商品は壁際に展示するのみとした。展示している商品も「当店の売れ筋商品を中心にした」(目黒社長)。
中央に広くスペースを取ったのは、「お客さまにくつろいでもらい、世間話を楽しんでもらうため」(目黒社長)と話す。 改装前はレジを置いたカウンタも大きくせり出し、カウンタに寄りかかりながら話すお客も多かった。
その際、年配客の中には腕を滑らせて転びそうになることもあったという。そのため、カウンタを小さくするとともに、世間話ができるような大き目のテーブルと椅子を中央に配置することを重視した。お客さま目線での店づくり―。それが今回の改装の重要なテーマだ。
気軽に話せる雰囲気を作るには柔らかな店内演出も欠かせない。そこでこだわったのが壁紙やカウンタ、床の色を木目調で統一することだ。木目調で統一しつつも、統一感を損なわないようにそれぞれで特徴の出るデザインを選んでいる。壁紙などによる雰囲気づくりに加え、トイレ前には新たに壁を作った。
目黒社長は「これまでは店内からトイレが見えていた。見えると使っているお客さまが気にされてしまう。もっと気軽に利用していただけるようにしたかった」と説明する。
こうしたひと手間もお客にくつろいでもらう一工夫だ。 くつろぎ空間の演出に一役買っているのが、天井に埋め込んだ二つのスピーカだ。PCから音楽を転送し、高音質な音源を流している。
新築住宅の配線工事を多く手掛ける同店の目黒勇太さんは「最近では新築住宅で天井にスピーカを埋め込むことが増えている。改装するなら天井スピーカは導入しようと考えていた」と話す。ここは、今後店を継ぐ勇太さんのこだわりで、落ち着いた音楽が天井から流れ始めると店内の雰囲気が一気に和らいだ。
もう一つ勇太さんがこだわったのは、天井埋込形のナノイー発生器を取り付けることだ。これは事務所スペースにこれから取り付ける予定で、「改装に当たって取り付けるための穴だけは開けていてもらった」と勇太さん。
これも新築住宅で取り付けが増えている商品といい、得意とする仕事を通して得たアイデアを自店の改装にも生かした格好だ。
家電量販店とは違い、地域店の店内はスペースが限られている。それをどう活用するかは各店の思い次第。特に改装という節目では日頃どのような思いを持ってお客に接しているかが見えやすい。 シンセツ電器さがみ野の店内は、奇抜な店づくりではないかもしれないが、長く商売を続けてきた中で感じてきた思いがうまく表現できているのではないだろうか。