2022.01.13 【放送/機器総合特集】22年 年頭所感総務省情報流通行政局地上放送課 堀内隆広課長

堀内 課長

ネット配信の在り方検討へ

放送網強靱化を支援

 令和4年(2022年)の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。皆さま方には、日頃から放送行政に格別のご理解とご協力を賜り、心からお礼申し上げます。

 昨年は、57年ぶりに日本で夏季オリンピック・パラリンピック大会が行われました。コロナ禍により多数の会場で無観客開催となる中、放送を通じて、多くの方が日本人選手の活躍や世界のトップアスリートたちの躍動感あふれる姿に感動し、一体感を共有したのではないかと思います。

 一方で、社会全体でデジタル化が進展するなど、放送を取り巻く環境は急速に変化しています。総務省では、昨年11月より「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」を開催し、放送ネットワークインフラの将来像や放送コンテンツのインターネット配信の在り方などについて検討を進めています。放送事業者の皆さまにおかれては、時代の要請に応えていくための変革に積極的に取り組んでいただくことを期待しております。

 また、外資規制に係る制度見直しについては、今後、有識者会議の最終提言を踏まえた法改正を視野に入れており、総務省としても外資規制が適切に順守されるようしっかりと取り組んでまいります。

 さらに、放送事業者の皆さまと密にコミュニケーションを取り、令和5年(23年)に予定している放送局の再免許に向けた準備を進めてまいります。

 災害時において、避難情報や生活支援情報などのきめ細やかな情報を、迅速かつ正確に発信するテレビやラジオは、国民の安心・安全を支える重要な社会基盤となっています。総務省では臨時かつ一時的に開設される臨時災害放送局の送信設備を総合通信局所(11カ所)に各1台配備していますが、激甚化・頻発化する大規模災害発生時に備えて、さらに1台ずつ追加配備することとしました。引き続き、放送ネットワークの強靱(きょうじん)化を強力に支援してまいります。

 AMラジオ放送については、放送設備の老朽化に伴う更新費用の負担などに関する課題を抱えています。経営基盤の強化を図る観点から、民間AMラジオ放送事業者のAM局の先行停波・FM放送への転換に関する実証実験を令和5年(23年)11月から開始することとしており、それに先立ち同年1月頃に実証実験への参加公募を行う予定です。民間AMラジオ放送事業者の皆さまが実証実験への参加に関する判断を適切に行うことができるよう、関係者のご意見も踏まえながら、本年中に所要の制度整備を進めてまいります。

 字幕番組、解説番組および手話番組といった視聴覚障害者など向け放送の充実も重要な課題です。放送事業者の皆さまには、総務省が平成30年(18年)に策定した「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」に基づき、字幕番組などの普及にご尽力いただいております。

 本指針は、本年度に見直しを予定していることから、関係者・関係団体のご意見も丁寧に伺いながら検討を進めてまいります。また、総務省では字幕番組などの制作費や設備整備費の助成も行っており、普及が遅れている生放送番組への字幕付与のために必要な設備の整備支援に特に力を入れてまいります。本助成事業の積極的な活用もご検討ください。

 最後に皆さまのご健勝とご多幸を祈念し、新年のごあいさつとさせていただきます。