2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開中興化成工業

庄野 社長

フッ素樹脂、半導体関連などに注力

 中興化成工業は、フッ素樹脂などの高機能樹脂の総合加工メーカー。フッ素樹脂は蛍石由来の樹脂材料。特性は、非常にタフな材料であり耐熱性や耐薬品性に優れる。260度までの高温からマイナス180度などの低温でも変質しない。電気絶縁性や誘電特性、滑り特性、耐候性などの特徴も併せ持つ。一方で加工が非常に難しい材料でもある。

 同社は1963年に設立され、創業以来、長年、フッ素樹脂加工での課題解決に取り組んできた。高度な加工技術を強みに一品一様で顧客の要望に合わせた加工を行い、実績を拡大している。

 庄野直之社長は最近の動向について、「2021年は半導体関連のビジネスが多忙で売り上げも好調だった。原材料や人材の確保に注力した一年だった」とし、今後の展望について、「22年も半導体需要の拡大は継続するとみており、当社が手掛ける半導体製造装置向け部材も増加が見込まれる。通信はポスト5Gへの期待が高まっている。自動車もEVシフト加速により、これまでとは違う部材が要求される。これらの成長分野に向け、先々のニーズを先回りした新製品の開発・提案に力を入れる。シングルヒットを多く出す方針で新製品に取り組み、その結果、時々長打も打てたらいいと思う」と話す。

 22年の分野別戦略では、「引き続き半導体関連に力を注ぐ。通信はポスト5G向けに、高周波特性に優れた製品、線膨張係数を抑えた製品によるソリューションを提案する」(庄野社長)。

 同社は21年12月に、宇都宮工場新棟「WEST WING」(栃木県鹿沼市)を竣工(しゅんこう)した。フッ素樹脂製品の生産拠点として22年3月からの稼働を予定する。長崎県の松浦でも数年前に大型工場を新設し、順次、設備増設と設備性能向上のための投資を実施している。

 「今後もキャッシュフロー経営を進める。社長就任後の数年間はキャッシュの増額に努めてきたが、現在は積極投資に取り組み、22年も高水準の設備投資を維持する。近年は、『ふっ素のふふふ』というフッ素樹脂製品自体の認知度向上に向けた広告シリーズの展開にも力を入れている。22年は、リアル展示会出展にも力を入れていきたい」(庄野社長)。カーボンニュートラルにも積極的に取り組む。