2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開積水化成品工業

上原 事業部長

「テクポリマー」の用途拡大推進

 積水化成品工業は、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子「テクポリマー」の用途拡大を進めている。特に期待するのは半導体関連だ。

 テクポリマーは、スチレンやメタクリル酸メチルなどの重合性モノマーを主成分とするポリマー微粒子。

 以前から、液晶ディスプレーやLED照明カバーなど光拡散材としての光学用途のほか、塗料などのつや消しや触感付与、化粧品の滑りを良くする添加剤など、幅広い分野で用途に合わせてカスタマイズした製品を提供している。

 それに加えて、最近注目しているのは、基板の加工プロセス用途など電子部品分野への応用。粒子の内部に中空構造を有することで、低誘電性の付与が可能となり、電子材料分野への展開が見込まれるためだ。

 平均粒子径について、ナノオーダーからサブミクロン径、さらに数十マイクロメートルまでと幅広い品ぞろえを準備している。比誘電率、誘電正接とも、モデル上は約20%近く低下する。また、シェル層が樹脂構造のため、比重が軽くかつ柔軟で、調液時のハンドリング性の向上も期待できる。

 中でも、「NHグレード」はナノサイズのため、特に透明性が必要な用途に好適となっている。

 車の電動化や第5世代移動通信規格・5Gの進展が加速する中、電子部品では高周波対応や小型化といったニーズが高まっている。それだけに、高機能化を目指して素材を含めて検討を進めるようなデバイスメーカーなどに、特にニーズがあると見込む。

 無機フィラーなどに置き換わるというより、一定の割合で併用されることを想定。足元では加工プロセスで要求される耐熱性の一層の向上なども図り、製品を磨いていく。

 「周辺部材にまつわるニーズも大きく変化する中、テクポリマーの特長を生かし、部品開発に寄与する取り組みを推進していく」と、第2事業本部機能性ポリマー事業部の上原徳士事業部長は意欲を示している。

 今後、テクポリマーは、接着剤・粘着剤への用途も想定している。添加することでギャップ剤や応力緩和、低誘電化、光学特性の変化などの機能を付与できる。