2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開信越化学工業
信越化学の材料が使われたヘルスパッチ(黒い部分が生体ドライ電極、それらをつなぐ金色の線が高伸縮性配線)
生体ドライ電極など
ウエアラブル向けに訴求
信越化学工業は、マイクロLEDディスプレーの製造で使用される移送部品と移送装置を一式で顧客に供給する体制を整えた。「ワンストップ ソリューション プロバイダー」として顧客に課題解決策を提案し、マイクロLEDディスプレーの普及と市場の飛躍的な拡大に取り組む。
同社は2020年2月にマイクロLEDディスプレーの製造用材料の上市を発表したが、その後もマイクロLEDチップの移送部品のラインアップ拡充に取り組み、精密加工された合成石英ガラス基板上にシリコンを成膜する独自技術を開発した(EZ-PETAMP/SQDP/SQDP-G/SQRPシリーズ)。
また、グループ会社の信越エンジニアリングにて、独自のレーザーおよびステージコントロール技術によって、簡素な転写で高速かつ正確にマイクロLEDチップを移送できる装置を開発した。マルチレーザーリフトオフ装置、ボンドデボンド装置、レーザーマストランスファー装置、高速リペア装置が主たる装置。
マイクロLEDチップの高精度な移送には装置と移送部品の適合性が極めて重要。これらを同社グループが一括で顧客に供給し、顧客がそれらを合わせて使用することで、ウエハーからバックプレーンまで効率良くマイクロLEDチップを一貫移送でき、大幅な工程短縮が実現できる。
同社はさらに、ウエアラブルデバイスの特性向上に資する「生体ドライ電極」と「高伸縮性配線材料」を新たに開発した。ウエアラブルデバイスの機能、装着性と使いやすさが飛躍的に向上し、使用者に高い「QOL」を提供できる。
生体ドライ電極は、ウエアラブルデバイスで生体信号を取得する入り口の働きをする電極。生体適合性に優れたシリコンがベースのため、肌になじみ、かぶれにくく、また、厚みを髪の毛と同等の薄さにすることで柔軟で着けていることを感じさせない。シリコンの粘着性を最適化することで、装着者の動きに追従し、安定した心電図信号取得を実現。耐水性に優れ、装着したまま入浴できる。
高伸縮性配線材料は、取得した生体信号を信号処理デバイスへ伝達する配線向けの材料。伸縮テストを繰り返しても導電性は保たれるため、長時間の装着に耐える強度が必要なヘルスパッチの材料に最適。