2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開大陽日酸

澤木事業部長(右)と千葉部長

電子材料ガス
安定供給できる体制を構築

 大陽日酸は、半導体製造工程などで不可欠な電子材料ガスを供給する大手メーカー。多様なニーズに対応した電子材料ガスを豊富にぞろえ、国内4カ所の生産拠点体制で高品質な製品を安定供給する。最先端の顧客向けでは、R&D部門との連携により、新しい材料の開発・提案を継続的に進めている。

 同社電子機材ユニット電子機材ガス事業部の澤木実電子機材ガス事業部長と同営業部の千葉賢治部長は電子材料ガス事業の動向について、「2021年は年初から顧客の稼働率が高水準で推移し、当社の電子材料ガスも販売が増加した。メモリー、ロジック系ともに好調で、地域別でも各エリアが好調。半導体市況の活況により、今後も顧客の稼働が低下する兆しはなく、22年もしばらくは高水準の受注が続くとみている」と話す。同社の今年度の電子材料ガス販売量は前期比で15%前後の増加となる見込み。一方で、「原材料費高騰や物流ひっ迫の影響を受けている」という。

 同社の電子材料ガス事業では、グループ会社の大陽日酸JFPが国内4工場を展開。高品質のガスを安定供給できる体制を整備し、ユーザーから高い評価を得ている。さらに、海外製品を輸入し、大陽日酸JFPの技術力を活用して、品質確認を行いながら国内ユーザーの要求仕様に合わせたカスタマイズ供給などにも力を入れている。

 需要増に対応するため、日本、韓国、中国でジボランガス製造能力を23年末までに順次増強する。これにより半導体メーカーの需要増に応えるとともにグローバルサプライチェーンの強化を図る。「メモリーを中心とした半導体メーカーの設備投資意欲は旺盛で、国内での半導体新工場建設なども計画されているため、ユーザーに安定供給できる体制を構築する」。

 同社はSDGsの一環として、保安確保と資源の有効活用のため、特殊ガス容器早期返却促進活動を22年4月から強化する。容器中の特殊ガスには毒性や腐食性を有するものもあり、ユーザー側で容器を長期間放置すると事故につながる恐れもある。

 安全に使用してもらうため、販売後14カ月以上経過しても容器が返却されない場合は延滞料を徴収する。

 「特殊ガス容器は定期的な耐圧試験も義務化されている。延滞料金制度の改定によって、保安強化につなげる」としている。